Budget Amount *help |
¥6,000,000 (Direct Cost: ¥6,000,000)
Fiscal Year 1987: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1986: ¥4,000,000 (Direct Cost: ¥4,000,000)
|
Research Abstract |
合成α型ヒト心房性ナトリウム(Na)利尿ポリペプチド(αーhANP)につき下記の検討を行った. (1)全身循環動態ならびに腎機能に及ぼす影響を, 正常血圧者と本態性高血圧症患者について比較した. αーhANP(25ng/kg/分)静注により血圧は両群で同程度下降し, 心拍出量は変らず, 総末梢抵抗が低下したことから, αーhANPの降圧効果は抵抗血管床の拡張に基づくものと考えられた. 利尿・Na利尿反応は高血圧群でのみ有意であった. 糸球体濾過量(GFR)は高血圧群でのみ増加し, 腎血流量は減少した. 全例についてみると, GFRの変化と尿中Na排泄量との間には有意な正の相関関係が認められた. 従って, αーhANPのNa利尿反応にはGFRの増加, 腎潅流圧の上昇が重要と考えられる. いずれの群でもヘマトクリットが上昇したことから, GFRの増中はαーhANPにより血管壁透過性が亢進した結果と思われた. (2)同様な検討を, 進行した腎機能障害を有する慢性糸球体腎炎患者で行った. 対象11例中9例に高血圧が認められ, 血清クレアチニンは平均2.8mg/dlであった. 血圧および全身循環動態の変化は本態性高血圧症の場合に類似していたが, 明らかな腎血流の増加が認められた. 対象の多くは高レニンであり, αーhANPがアンジオテンシンによる腎血管収縮に拮抗した結果と解釈された. 従って, ANPは特に腎循環調節に重要と考えられた. (3)αーhANPの尿蛋白排泄に及ぼす影響を, 健常者と腎炎患者とについて検討した. αーhANP25ng/kg/分の静注により, 腎炎患者において尿蛋白排泄量は約3倍増加し, 尿の蛋白濃度対クレアチニン比も同様に上昇した. 健常者ではいずれの測定値にも有意な変化は認められなかった. この所見は, αーhANPが糸球体に直接的に作用し, 血漿蛋白透過性を亢進させた結果と考えられた. 以上の3つの研究成果は, ANPの病態的役割を考察する上で重要と思われる.
|