Project/Area Number |
61510231
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
英語・英文学(アメリカ語・アメリカ文学)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
桜井 正一郎 京大, 教養部, 助教授 (60026812)
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Project Period (FY) |
1986
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1986)
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Budget Amount *help |
¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 1986: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
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Keywords | イギリス型ソネットの起源 / カプレット / エピグラム / ストランボット / セラフィーノ / マーシャル / 『ギリシア詩華集』 / ケンダル |
Research Abstract |
イギリスのソネットの起源は、様式(表現方法)と主題(内容)の両面からみなければならない。様式については、カプレットをなして独立している結句に着目するのが有効である。古典期に生まれた短詩型のエピグラムは、ルネッサンス時のある段階まではソネットと同一視されていた。ワイアットは、ペトラルカからソネットを知る前に、セラフィーノのストランボット(エピグラムの一種)から、イギリス型ソネットの基本となる結句を学びとっていた。また、主題のうえでも、セラフィーノの世界とワイアットの世界は同趣であり、かくしてワイアットにとって、エピグラムとソネットは未だ分離してはいなかった。ワイアットがセラフィーノを移入したときとはちがって、サリーがマーシャルのエピグラムを移入したときは、厳正忠実な訳によった。これは様式の面で、エピグラムが異物として独立しはじめているのを意味する。さらに主題の面でも、サリーはマーシャルから、ワイアットのソネットにはない思索や田園趣味をとりいれ、これもまたサリーが、エピグラムをソネットと区別しはじめていたのを物語るであろう。二つの本格的な分離は、ソネット作者がエピグラムを書かなくなった、サリー以後におこった。その頃ケンダル編の『エピグラム詩華集』によって、マーシャルと『ギリシア詩華集』が本格的に移入され、イギリスのソネットは、これらのエピグラムをはっきり異物とみなしつつ、これまでのソネットにはなく、しかもイギリス人の心情に適った主題、すなわちvileness,fel,acetum,salを、とりいれていった。一方、様式の面では、この期のソネット作者たちがエピグラムから受けた影響は、多岐にわたり、次第に間接的となった。とくに『ギリシア詩華集』は、頭初予想していたようなワイアット、サリーとの直接の繋がりがないのが判明し、多岐にわたった諸詩人への影響を解明するのは、今後の課題として残された。
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