Research Abstract |
本研究が取り扱う時期の日本政府側文書などは未公開の段階なので、それを埋めるものとして、当時の研究書,政府刊行物,新聞,総合雑誌などの資料を東京大学附属図書館,同経済学部図書館,同法学部図書館などにおいて調査した。また米国側の政府刊行物や二次資料,研究所を東京大学アメリカ研究センター資料室や東京アメリカセンターで網羅的にチェックし重要なものを資料収集した。 これら資料の内容は、当時の米国の対極東・日本政策の概容を示すものから、軍事,経済,心理,文化戦略や、また当時の日本の外交や国内政治状況などを明らかにするものである。このように収集した資料は多岐に亘るため整理が困難で、完了までにはまだ多くの時間を要する。 そのなかで米国の対中国輸出禁輸政策とその対日政策にもつインプリケーションというテーマについては資料整理を一応終り、一本の論文(約50枚)にまとめることが出来た。続いて、米国の日本経済自立をはかろうとする当時の政策に関する資料整理を行っている。このテーマは多くの側面を有しており、一、二本の論文ではまとめることは出来ない。現在、このテーマに関連してひとりの人物の考え方や行動に焦点を合わせて資料をまとめ、論文執筆の準備段階に入っている。この人物(フレデリック・P・リッチ氏)は米国に存命であることをつきとめ、手紙で問い合わせを行ったり、彼を知る日本側当事者にもインタビューや書簡で情報提供をうけている。これが論文の形で発表されても、本研究テーマのほんの一部を解明したことを意味するにすぎず、今後の課題として多くの仕事が残されている。
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