Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1987: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1986: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本研究は近代沖縄の思想的位置を日本思想史とアジア思想史の双方から照射し, それらの交錯領域としての"沖縄"の思想像を解明しようとするものである. この問題意識に立って本研究では, "日本"・"沖縄"・"アジア"の三地域を代表する思想家達の様々な思想の分析を通じて, "日本"と"アジア"とを架橋する"沖縄"の思想史的位置を照明する方法がとられた. この作業を推進するため, 科学研究黄最終年度の本年は, 二度にわたり東京に出張し, (1)孫文関係資料の収集(2)モフタル・ルビス関係文献資料の収集に従事し, 更に在地沖縄で(3)伊波普猷関係文献の収集に従事した. この結果, 孫文関係資料に関しては, 『孫文選集』をはじめとする中国関係諸文献を収集し, モフタル・ルビス関係資料については, 1920年代以降のインドネシア民族主義の生成, 発展に関する文献資料を収集した. また, 伊波普猷に関しては, とくに『沖縄毎日新聞』紙上で展開された明治末期のアジア論を中心に収集作業を進め, 一定の成果を上げることができた. 孫文, 伊波普猷・モフタル・ルビスなどアジアの先駆的な思想家群像の思想的系譜を跡づけることを目的とした本年度の研究においては, 孫文に関しては, 文献資料の制約もあって充分な検討に着手することができなかったが伊波普猷とモフタル・ルビスの思想的系譜関係については, 両者がほぼ同一線上に立つ思想家であることが判明した. 孫文関係の思想的分析としては, 今後の課題としなければならないが, 伊波普猷とモフタル・ルビスについてはアジア思想史上の同一系譜の思想家として位置づけることが可能となった. とりわけ, 現在インドネシアの文芸思想家モフタル・ルビスに関しては, インドネシア民族主義に関する多数の文献を手がかりとしての文芸思想を分析する手法をとり, その結果, モフタル・ルビスと伊波の思想的系譜の同一性, 類似性を確認できたことは今年度の新しい知見であった.
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