金属表面に吸着した色素分子の光学的性質に関する研究
Project/Area Number |
61540228
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
上羽 弘 富大, 工学部, 助教授 (70019214)
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Project Period (FY) |
1986
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1986)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 表面ラマン散乱 / プラズマ共鳴 / 色素分子 / エネルギー移動 / ルミネッセンス |
Research Abstract |
金,銀の金属蒸着膜に吸着した色素分子(ローダミン6G(R6G),ナイルブルー(NB))の光吸収,ルミネッセンス,およびラマン散乱等の光学的な性質を実験的に研究し、金属蒸着膜特有のプラズマ共鳴による増強電場の効果や、色素分子と金属のエネルギー移動に関して重要な知見を得た。 1)光吸収 銀蒸着膜の光吸収は膜厚によって可視領域に島状膜特有のプラズマ共鳴による吸収ピークが出現し、さらに色素吸着によって、このピークは分裂する。一方、この様な構造は金蒸着膜では観測されず、この違いがラマン散乱の増強効果に本質的に重要な役割を果すことを確認した。 2)ラマン散乱溶液中の色素分子からは、その強いルミネッセンスによってラマン散乱は観測されないが、銀に吸着すると鋭いラマン散乱が観測される。その強度を、銀膜厚の変化について調べてみると励起源であるArイオンレーザー(当科研費補助金によって購入)の励起波長近傍に吸着色素-金属系の吸収が出現する時に最大となる。また励起波長による変化からもプラズマ共鳴の役割が確認された。 3)ルミネッセンス ラマン散乱の増大が観測されたのと反対にルミネッセンの強度はガラス上と比較して減少していることが判明した。また、この励起波長依存性もプラズマ共鳴よりも色素の電子遷移を大きく反映しており、吸着色素のルミネッセンス強度はプラズマ共鳴による電場効果と吸着色素のエネルギー援和過程との競合によるという実験的事実を得た。今後、吸着色素の寿命の直接的な測定等は、金属との化学的な相互作用を探る上で極めて重要な課題である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)