Project/Area Number |
61540331
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物理化学一般
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
久保田 幸雄 山口大, 理学部, 助教授 (70034709)
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Project Period (FY) |
1986
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1986)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 核酸-色素相互作用のダイナミックス / 高速反応過程 / 蛍光温度ジャンプ法 / ナノ秒蛍光法 / 結合モデル |
Research Abstract |
1.核酸-色素系の吸収・蛍光スペクトル測定-核酸-色素系の吸収スペクトルは色素自身に比べて長波長にシフトするのに対し、蛍光スペクトルは短波長にシフトすることを見いだした。この現象は三セル-色素系に酷似していることより、色素は核酸の疎水性領域(核酸塩基対間)に結合する(インターカレートする)ものと結論できる。 2.蛍光温度ジャンプ法による核酸-色素系緩和現象の測定ーー三つの緩和現象(緩和時間;ms〜μs)が見いだされ、緩和時間の逆数の核酸濃度依存性より、次のような核酸-色素相互作用のダイナミックスが確立された。即ち、色素は二つの結合サイト(アデニン・チミン対,グアニン・シトシン対)に二分子反応的に高速に結合し(μs)、二つのサイト間で結合色素が交換反応又は直接移動反応を起こすと結論される。 3.ナノ秒蛍光法による蛍光異方性の時間変化の測定-核酸ーー色素系のローカルミクロブラウン運動や塩基対のねじれ運動は、ナノ秒次元より高速で起こる場合が多く、測定時間領域をナノ秒からサブナノ・ピコ秒に拡張する必要のあることがわかった。これは今後の課題である。 4.ナノ秒蛍光法による蛍光減衰曲線と蛍光寿命の測定ーー核酸-色素系の蛍光減衰曲線は、一般に単一指数関数で表せず、これは核酸塩基-結合色素間の特異的相互作用(電荷移動・励起エネルギー移動)によるものであることがわかった。またヘキスト系色素では、結合色素の溶媒緩和(ナノ秒次元)による蛍光現象が見い出された。この現象は、色素の結合部位を探る上に非常に有効と思われ、今後さらに研究を発展して行く予定である。 5.以上、核酸-色素系高速反応ダイナミックスに関して重要な知見が得られた。
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