Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1986: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
環境試料の分析においては分析値の相互比較が必須であり、各国各研究機関で標準試料の調製がすすめられている。しかし、その保証値の決定には十分に吟味された分析方法の開発が不可欠である。本研究において導入された新しい内標準法は、あらゆる放射化分析法に適用できるとともに、複雑な組成の試料であってもその組成の影響を受けず、しかも照射および測定に関わる各種の補正が不要で、かつ簡便な式によって定量できるものであり、標準試料の分析に最適のものといえる。 そこで、本研究ではこれまで環境試料の分析に適用された例が殆どないサイクロトロンによる荷電粒子放射化分析および電子ライナックによる光量子放射化分析法に本法を適用し、本法の特徴を明らかにした。 まず、荷電粒子放射化では13-MeV陽子により放射化した。試料は主に生物試料を選び、Ti,Fe,Zr,MoおよびCdなど他の分析法では容易に同時定量できない元素の分析を実施した。内標準にはYやLaを添加した。また、22-MeVα粒子による血清試料の分析も実施し、P,CI,KおよびCaの同時定量を行った結果、精度よく、かつ正確な定量ができることが実証された。 つぎに、光量子放射化では、30-MeV制動輻射により放射化した。試料には土壤、大気浮遊麈などを選び、As,Ba,Ce,Co,Cr,Cs,Nb,Ni,Pb,Rb,Sr,Y,ZnおよびZrの15元素の同時定量を行った。内標準には環境試料中に比較的高濃度で含まれているNa,Mg,Ca,Ti,Fe,Mnの6元素を利用した。このように複数の元素を内標準にすることで、分析法の種々の系統誤差の検出ならびに定量値の正確さの向上が図れるだけでなく、各元素間の相関が分り、均一に分布しているか、特定の元素のみと同一挙動を示しているか等,通常の定量法では得られることの出来ない知見も得ることが示され、本法のより一層の発展が期待される。
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