分極性配位子を有する新しい導電性金属錯体に関する研究
Project/Area Number |
61540447
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
無機・錯塩・放射化学
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松林 玄悦 阪大, 工学部, 助教授 (90029182)
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Project Period (FY) |
1986
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1986)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | 分極性配位子 / 導電性金属錯体 / カラム構造 / 配位子部分酸化 / ヨウ素ドーピング |
Research Abstract |
Pt【S_2】【N_2】型の分極した配位子を有するPt(amit)(L)およびPt(mnt)(L)(L)=AおよびB)錯体を合成し、その性質を検討した。これら錯体の溶液中での電子スペクトルは、500〜600nmに配位子間電荷移動吸収帯を示し、その吸収位置は非極性溶媒中では顕著に低エネルギー側へシフトし、錯体が基底状態で分極していることを示す。また、Pt(mnt)(A)のX線結晶解析を行い、平面性の錯体が主にS…N静電的相互作用により一次元カラム構造を形成していることを明らかにした。この錯体では、平面距離は3・36および3・53Åとかなり大きいが、Pt(amit)(L)錯体では、その固体反射フペクトルにおいて700nm付近に溶液のスペクトルには見られないブロードなバンドが現われ、より強い錯体間相互作用の存在を示す。今回得られた錯体の酸化電位は0.8〜1.3V(VS.SCE)とかなり高い。これらの錯体をヨウ素を含むヘキサン中に懸濁させ、撹拌し、ヨウ素ドーピングによる部分酸化を行ったところ、amit錯体においてはヨウ素によって錯体あたり0.5〜0.6電子酸化され、ヨウ素は還元されて【I(-3^-)】あるいは【I(-5^-)】アニオンとして存在することがわかった。しかし、nmt錯体ではヨウ素はドープされない。Pt(dmit)(L)(L=AおよびB)は粉末加圧成型試料で測定すれば【10^(-9)】〜【10^(-10)】S【cm^(-1)】の伝導度を示す半導体であるが、ヨウ素ドーピングにより【10^(-6)】〜【10^(-8)】S【cm^(-1)】にその導電性は向上した。錯体の酸化はamit配位子で起こり、イオウ原子を通しての錯体間相互作用による電導経路が形成されているものと思われる。
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Report
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Research Products
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