Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1987: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
前年度に引き続き, ポリエーテル鎖のモノマーモデルである1, 2-ジメトキシエタンに関する非経験的ab initio分子軌道法計算を行うことにした. まず, ゴーシュ効果を再現するのに必要な基底関数の大きさと計算の近似度を知るために, より小さな分子で計算が容易な筈の1, 2-ジフルオロエタンについて検討した. 結果として, 予想外に大きな基底関数, すなわちマルチゼータ十分極関数+diffuse関数(D95+^<**>または6-311++G^<**>)を用いて, 電子相関をほぼ完全に取り込んだMP3レベルの計算を行う必要があることがわかり(J.phys.Chem.に発表), 従来ab initio法では再現出来なかったゴーシュ効果として-0.86kcalを得, 並行して行った気相高分解能NMRからの実測値-0.81kcalとよく一致した. そこで, ポリエーテル鎖のモデル化合物1, 2ジメトキシエタンについても, D95+^<**>基底関数を用いるMP3レベルの計算を行ってみたが, 東京大学大型計算機センターにおける作業用ディスクファイルの容量の制約から, 電子相関を含むMP3の計算は出来ず, ハートリーフォックレベルの計算にとどまり, ゴーシュ効果を再現出来ずに終ってしまった. ここでab initio計算を断念し, かわりに半経験的分子軌道法であるCNDO/2法に切りかえた. CNDO/2法による計算ではポリエーテル鎖におけるゴーシュ酸素効果の実験値(〜-0.4kcal)をよく再現する値-0.39kcalを得ることが出来たので, ゴーシュ効果の内味の検討を行ない, ab initio計算では計算出来なかった電子相関の効果, とりわけ結合を通しての1.4-相互作用が重要であることがわかった. この知見をもとに, 1, 4-相互作用関数の導入, モース関数の導入, 振動周波数をも用いる最適化を骨子とする新しい分子力場の作成を考え, 所期の目的であるゴーシュ酸素効果を表現しうる力場の決定を試みた. 最適化プログラムAMPOP2が完成し, 現在C, Hを含む部分のパラメーター化が終了した段階にある.
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