Research Abstract |
共役ジオレフィン化合物の光固相重合は, 主鎖骨格にシクロブタン環と芳香環を交互に有する剛直なポリマーを与える. これまで, その反応機構, 反応動力学について詳細な検討を加えるとともに, 生成したポリマーの種々の性質について測定を行ってきた. 本年はオリゴマー領域について詳細な検討を行った. p-フェニレンジアクリル酸ジエチルエステル(PDAET)のポリマーは硫酸溶液からエタノール中に投入すると非晶化することができる. PDAEtの非晶知性ポリマーはクロロホルムに可溶となり, GPCによる測定が可能となる. GPC曲線にはポリマーによるピークのほかに低分子側に明瞭に3つのピークが現われ, それぞれモノマー, ダイマー, トリマーによるピークであると考えられていた. そこで, これらのピークに対応する, それぞれのフラクションについてIRスペクトル, 蒸気圧浸透圧計による分子量の測定を行い, キャラクタリゼーションを行うとともに, 反応機構についても考察を行った. 分子量の低いほうから, それぞれフラクションI, II, III, と名付けると, Iは水-エタノール可溶, IIはエタノール可溶, IIIはクロロホルム可溶であり, 溶解度の差により分別を行った. IRスペクトルの1720cm^<-1>のカルボニルの吸収の吸光度に対する1640cm^<-1>のC=C二重結合の吸光度の比からI, II, IIIはそれぞれモノマー, ダイマー, テトラマーと推定された. 各フラクションの分子量測定の結果, I, II, IIIに対し, それぞれ274, 564, 1138の値が得られ, これらの値はモノマー, ダイマー, テトラマーに対する値, 274, 548, 1096によく一致する. これらの結果は光固相重合において, まずモノマー間で二量化反応が起こり, 次にダイマー間で二量化が起こり, テトラマーが生成することによって反応が進行することを示唆している.
|