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¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
低エネルギーの電子が気体分子と衝突する場合、分子は電子を捕獲して負イオンとなる。この電子付着の親和力は電気陰性度に依存し、分子の種類によって大きな差がある。電子付着現象を利用すると、気体を負イオン化し、電場あるいは磁場内で選択的に分離する新規な分離法を確立できる可能性がある。そこで本研究では、電子付着確率側定装置を試作し負イオン生成に関する基礎的研究を行った。 1.電子付着確率測定装置の試作 付着確率の測定法としてはドリフトチューブ法を用いた。この方法は電子と負イオンの電界内での速度差を利用した一種のクロマトグラフィー法である。電子は紫外線の照射により石英ガラス上の金蒸着膜から発生し、グリッドによりパルス状に制御される。この電子がアノードヘドリフトする間に中性分子と衝突し負イオンを生成する。速度の大きい電子がまず検出され、次に速度の小さい負イオンが検出される。電子と負イオンを二次電子倍増管に取り込み、増幅と波形整形を行い、パソコンで計数する方法を確立した。 2.電子付着確率の測定 気体としては、【SF_6】,【O_2】,【N_2】を用い、電界と圧力を変化させ電子付着確率を実測した。【N_2】の場合は負イオン生成が認められず,【SF_6】は【O_2】の約【10^(12)】倍の付着確率が得られた。電子付着確率は電界圧力比(電界/圧力)の関数として得られ、付着確率は【O_2】では電子エネルギー5eV,【SF_6】では電子エネルギー0.1eVで最大であった。【SF_6】,【O_2】,【N_2】について付着確率に大きな差が認められ、電子付着に基づく極微量気体の選択的除去の可能性が得られた。具体的な気体分離装置の提案は今後の課題であるが、本測定装置は対象気体の選定,分離機構の理論的検討において有用な手段となると考えられる。
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