サケ科魚類の母川記銘と降河行動の発現機構に関する研究
Project/Area Number |
61560203
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
General fisheries
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山内 晧平 北海道大学, 水産学部, 助手 (10109514)
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Project Period (FY) |
1986
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1986)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | サクラマス / 銀化 / 海水適応能 / 母川記銘 / 降海行動 / 甲状腺ホルモンレセプター |
Research Abstract |
一般にサクラマスは一年間の河川生活の後、1年魚として春に銀化変態し、降海行動を起し、海洋生活に入る。これまで我々はこの降海行動の惹起に新月とその後の降雨が重要な要因として作用していることを示した。今年度は先づ稚魚期に成長促進させた0年魚サクラマスの銀化と降海行動を観察した。観察されたサクラマスのうち80%が0年魚として銀化を起したが、そのピークは1年魚のそれが5月下旬であったのに対し7月下旬であった。しかし、海水適応能は銀化進行とよく一致して発達し、7月中-下旬に最適応能を示した。それらの降海行動は7月の新月前には全く見られなかったが、7月の新月後に降雨があると、それによく反応して降海行動を示した。これらの結果はこれまで我々が提唱している様に、銀化最盛時の新月後の降雨がサクラマスの降海行動を惹起することを強く示唆している。他方、サクラマスの母川記銘に関連して、銀化に伴う血中甲状腺ホルモン(【T_4】)とエストラダイオール-17β(【E_2】)の挙動を調べたところ、銀化の進行に伴って【T_4】,【E_2】とも上昇し、銀化最盛時に何れも最高値を示した。その後脱スモルトに従って減少した。更に【E_2】の合成部位を調べるため、銀化に伴う【E_2】合成能を生殖腺と脳で調べたが、【E_2】は調べられた何れの時期も低い合成能であったのに対し、脳のそれは銀化時に高い合成能を示し、生殖腺の2-3倍であった。そしてその合成能は銀化終了と共に減少した。これらの結果はサクラマスの母川記銘に脳で合成される【E_2】は上昇する【T_4】と協同で作用する可能性を強く示している。また、肝臓での【T_3】と【T_4】の結合親和性を調べたところ、【T_3】が【T_4】より3倍程の親和性を見せ、魚類でも他の脊椎動物と同様【T_3】が甲状腺ホルモンの活性型であることが示唆された。従って、今後銀化現象における【T_3】の役割を調べると共に、母川記銘や降海行動に果す【T_3】や【E_2】の役割について実験的に解析する必要性が強く示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)