魚類中枢神経系の生体警告・防御機構における間脳背側部の役割
Project/Area Number |
61560210
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
General fisheries
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小栗 幹郎 名大, 農学部, 教授 (40023402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 満生 名古屋大学, 農学部, 助手 (70041853)
大村 百合 名古屋大学, 農学部, 助手 (50023479)
丹羽 宏 名古屋大学, 農学部, 助教授 (80023448)
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Project Period (FY) |
1986
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1986)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 魚類 / 間脳背側部 / 松果体 / 背嚢 / 傍松果体 / 血液-脳関門 / 大食細胞 |
Research Abstract |
魚類の間脳背側部は、交連下器官を除けば松果体・背嚢・傍松果体の3つの脳室周囲器官によって占められているが、そのうち松果体と背嚢は有窓性毛細血管の分布に富み、各々の内腔は第三脳室に開き、上皮の自由表面は髄液に露出している。一方、傍松果体は視床上部を覆う髄膜の肥厚部に埋もれており、手綱核等の脳組識との神経連絡の存在が推察される。このような間脳背側部における血液-脳関門の有無を調べ、異物の脳内侵入に対する生体警告・防御のしくみを明らかにする目的で、標識物質(タンニン酸・トリンパ青・HRP・フェリチン)をニジマスの腹腔又は直接血管中に注入した後、経時的に脳標本を採取し、実体・光学・電子顕微鏡標本を作製して写真撮影・解析を行った。その結果、次のようなニジマスの間脳背側部の血液-脳関門のしくみが明らかにされた。1.タンニン酸の細胞間輸送を遮断する閉鎖結合は、各器官の上皮細胞間頂上部に見られた。2.各器官の被膜におけるHRPに対する捕促・篩機構として、松果体と背嚢では血管周囲腔の大食細胞・線維芽細胞と毛細血管内皮細胞が、一方傍松果体ではコラーゲン線維網が重要な役割を演じている可能性が示唆された。3.松果体と背嚢では上皮細胞基底部からの標識物質(HRP・フェリチン・トリパン青)の取り込みが盛んで、取り込まれた物質の一部又はかなりの部分がライソゾームによって隔離・貯蔵された。4.松果体と背嚢の上皮細胞によって取り込まれたHRPとフェリチンの残りの部分は細胞内輸送によって頂上部へ運ばれ、エキソサイトーシスによって髄液中に放出されるが、これは内腔及び脳室内大食細胞によって取り込まれ隔離された。このように、本研究ではニジマスを用いて、間脳背側部における血液から脳室及び脳組織への異物の侵入経路とそれに対する防御の機構が明らかにされた。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)