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¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
今年度に既に正常肝2例 肝硬変10例および肝癌3例より個別にガングリオシド成分を抽出し、各症例の蛋白当りのガングリオシド結合シアル酸含量と二次元簿層クロマト法を用いてのガングリオシドパターンにつき 検討を行なった。またこれら症例肝の病理組織標本に各種染色(HE染色,Mallory-Azan染色,オルセイン染色など)を施し、病理組織所見につき検討した。 その結果 正常肝のガングリオシドパターンでは,GM3が主成分であり、その他微量成分として,G【D_3】,G【D_(1a)】,G【D_(1b)】,G【M_2】,およびG【M_1】が検出された。また従来報告されていない未同定成分も認められた。肝硬変組織では、共通してグラム湿重量および、蛋白当りのガングリオシド含量の減少傾向をみた。ガングリオシドパターンでは,G【D_3】,G【D_(1a)】,の相対的増加傾向をみとめた。また肝硬変組織で顕著な未同定成分の増加傾向を認めた症例があった。これらの症例は、病理組織学的検索の結果、multicentricの肝癌を伴なった肝硬変組織であった。肝癌組織ではガングリオシド含量は肝硬変組織のそれに比して増加傾向を認めたが、しかし、正常肝とほぼ同値であった。ガングリオシドパターンでは、全症例共通して前述した未同定成分とG【M_2】の顕著な増加を示した。また1例ではG【D_(1a)】の顕著な増加を示した。他方G【M_3】の減少傾向を示した。この未同定成分を抽出、精製しシアリダーゼ処理を行なったところ、シアリダーゼ感受性を示した。未同定成分の簿層上の挙動などより、シアロシルパラグロボシドと推定された。以上の結果をCimerican z ofHepatologyに投稿中である。 前述した未同定成分は肝癌の腫瘍マーカーのみならず前癌性病変を示唆するマーカーになりうる可能性があり、今後この未同定成分の精取を行い、モノクローナル抗体を作製し、肝細胞の局在性につき検討する予定である。現在進行中である。
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