Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1987: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
バセドウ病の抗TSH受容体抗体は甲状腺を刺激し, 特発性粘液水腫のそれは逆にTSHの甲状腺刺激を阻害する. ^<125>IーTSHと受容体の結合を阻害する活性に関して両抗体に差はなく, なぜ両者が相反する生物学的活性を呈するか不明である. この点を明らかにすることを目的とした. バセドウ病のTSH結合阻害活性(TBII)と甲状腺刺激活性(TSAb)は相関したが, TBII陰性例では結合部位の異なる受容体抗体が見出された. 特発性甲状腺機能低下症の抗TSH受容体抗体はTSHの甲状腺刺激作用を阻害し, 本抗体高値の患者が妊娠すれば新生児は, 過性甲状腺機能低下症を来す. さらに, 抗TSH受容体抗体をエビトー10に関係なく検出し得るHTTRAb 活性の測定法を確立した. 抗TSH受容体抗体の多様性を検討するため, バセドウ病および特発性粘液水腫患者リンパ球を骨髄腫細胞と融合することによって抗TSH受容体モノクローナル抗体を作成し, 分析した. その結果, 4つの異なったTSH結合阻害活性, 甲状腺刺激活性を有する4つのモノクローナル抗体を作成した. 甲状腺刺激型および抑制型の4抗体とも, 甲状腺可溶化分画, 糖蛋白分画との結合を示した. TSH受容体結合非阻害性, 刺激型抗体のみが, 糖脂質との有意な結合を示した. そして, イノラミニダーゼ, エンドグリコシダーゼ処理後は結合が消失した. 結合阻害および非阻害の4種のモノクローナル抗体を用い, 免疫ブロット法によって受容体との結合をみると, いずれも56Kレセプター分子との結合を示した. 以上の成績は, 抗受容体抗体には, 生物学的活性および受容体との結合領域の異なるもののあることを示している. この様な結合部位と生物学的活性の関係を明らかにするためには, 遺伝子工学的アプローチが必要と考えられ, ヒト甲状腺TSH受容体のcDNAのクローニングに成功した.
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