Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 淳 東京大学, 医学部・胸部外科, 助手 (90188954)
斉藤 寛文 東京大学, 医学部・胸部外科, 助手 (60184008)
横井 泰 東京大学, 医学部・第3解剖学教室, 助手 (60192415)
吉竹 毅 埼玉医科大学, 総合医療センター・第1外科, 教授 (60010261)
浦野 順文 東京大学, 医学部・第2病理学教室, 教授 (20009989)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1987: ¥100,000 (Direct Cost: ¥100,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
前年度までに正常胸腺における構成細胞のモノクロナール抗体による解析で, 皮質及び髄質に於ける細胞構成の加令変化を明らかにし報告した. 1.今年度は, 正常胸腺の検索を更に進め, 特に胸腺リンパ球細胞成分の出現頻度を各年令別にパーセント表示できるよう分析を進めた. 2.Leu2a(Suppressor)陽性細胞とLeu3a(Helper)陽性細胞比の加令変化を調べると, 3〜19才が最も高値(2.8〜3.3)を示し, 20才以降は末梢血中のH/S細胞比と殆んど変らない動きを示した. このことは20才迄の胸腺組織を場とする免疫活動の活発さを反映しているものと考えられた. 3.さらに胸腺腫5症例をモノクロナール抗体を用いて解析し, 先に調べた正常胸腺の細胞構築を対照として比較し, 本法の診断学的評価を行った. (1)胸腺腫症例は全て上皮性腫瘍細胞にリンパ球が混在する組織像を呈していた. (2)上皮性細胞, リンパ球の割合から, 症例1, 2, 3は混合型(LE), 症例4は上皮細胞優位型(E)症例5はリンパ球優位型(L)胸腺腫と分けられた. 正常胸腺は, 対象となっている胸腺腫の年令層に合せて30〜50才のものを用いた. (3)リンパ球成分は, 症例3で正常胸腺皮質に類似した所見を呈した. 症例4はOKT6(-)で, 著しく髄質類似であった. (4)上皮性細胞成分は, 症例2でLeu7陽性が明瞭に示されたが, 他の4例では全く認められず, HLA-DR, ケラチン, S-100を合せて比較すると症例1, 3, 4, 5では髄質類似の傾向が示唆された. (5)以上をまとめると胸腺腫の組織亜型により細胞構成を異にしていることが明らかとなり, E型胸腺腫ではその細胞構築は正常胸腺髄質に極めて類似し髄質由来を示唆していた. 一方, L型及びLE型胸腺腫では皮質由来の傾向が示唆されていると考えられた. 尚一層の症例の積重ねによる解析の必要性がある.
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