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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
本研究は薬物の経口および静注投与による眼前房中への移行を薬動学的に明らかにする目的で行ったものである。Cefaclor(CCL)を家兎に経口および静注して経時的に血漿中濃度を測定し、併せて前房中濃度を定量した。ヒトにおいては白内障手術に伴う眼感染症防止のためCCLを投与された患者の血漿中濃度を経時的に測定すると共に前房中濃度を一点採取して定量した。[結果]家兎の血漿中薬物濃度ピークは経口投与30分後に現われ、前房水濃度のそれは1.5時間後にみられた。静注投与での血漿中薬物濃度は急速に低下し房水中濃度のピークは投与30分後に認められた。これら血漿中および房水中薬物濃度の推移からmadified3-compartment modelを構築しpharmacokinetic parametersを求めた。血漿-房水間の移行速度を表わすKin,Koutは経口で1.03±0.21,13.26±0.46【hr^(-1)】,静注で1.51±0.12,9.90±2.53【hr^(-1)】が得られた。得られた各種pharmacokinetic parametersを用いて新たな家兎での血漿中薬物濃度から房水中濃度を微分式を用いて予測した。経口,静注とも房水中濃度の実測値はこの理論値によくfitすることが認められた。次に白内障手術に伴う眼感染症防止のためCCL500mg,1000mg/bodyを一回経口投与されたヒトの血漿中および房水中濃度を経時的に測定し、房水を一点採取して薬物濃度を測定した。血漿中薬物濃度のピークは500mgで2時間後、1000mgで3時間後に現われ各々5.57,13.03μg/ml/であった。房水濃度のピークはいずれも3時間後に現われ各々0.62,1.05μg/mlであった。血漿中および房水中濃度の推移からmodified2-compartment modelを構築しparametersを求めた。KinおよびKoutは各々1.50,12.90【hr^(-1)】が得られ家兎の経口時と類似するものであった。各種parametersを用いて新たなヒトでの血漿中薬物濃度から房水中薬物濃度を予測すると実測値は理論値にfitした。以上ここで用いた薬動学的手法により血漿中濃度から前房中濃度の予測が可能であることが明らかとなった。
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