Research Abstract |
1.研究方法 (1)前年度実施した比較的健康な高齢者群(A群, 男6例)と在宅身障老人群(B-a群, 男3例, 女3例, B-b群, 男5例, 女5例)に加えて, 友部町管内の在宅身障老人群(B-c群, 男4例, 68, 82, 83, 85歳, 女2例, 61, 85歳)を加えて前年度と同様に, 身体計測, 肺機能, 血圧, 心電図, 血液生化学(含ホルモン), 皮膚温, 室温・湿度・湯温等の測定を経時的に実施し, 総合的に入浴安全基準の判定資料とした. (2)今年度は単に細菌学的な安全基準を追求する目的で, B-c群の実施に際して, 浴槽, 給湯水, 浴槽中の湯水等ついて, 一般細菌, 大腸菌, ブドー球菌, 真菌について定量培養を実施した. その検索時期は, <1>湯水については結湯前の原水, 入浴前, 入浴後の浴槽中の湯, <2>浴槽壁については, 入浴前, 入浴後の浴槽壁各3カ所, <3>入浴後の浴槽の消毒効果については, 入浴直後, 洗剤のみの洗浄後, さらに逆性石鹸洗浄後の3時点とした. 2.研究成績 (1)環境変化・生体反応について:<1>湯温, 室温, 湿度は入浴前後でかなりの変動がみられ, 温度計, 湿度計による常時観察を要する. <2>露出部皮膚温の低下が高頻度にみられる. <3>血圧, 脈拍の動揺強い例あり, とくに入浴終了後に上昇をみることがあり入浴後10〜20分の経過観察が必要. <4>心電図, 呼吸機能は今回の症例では変化はみられなかったが, 更に例数を重ねて検討の要あり. <5>肝機能, 腎機能, 電解質, 脂質, 血算等は入浴前後で変化を認めなかったが, コルチゾールは入浴後低下を示す例が多く, ストレス解消を思わせたが, 反対にかなり上昇した例もみられた. (2)細菌学的検査成績:入浴前の給湯水には一般細菌, 大腸菌とも殆んど認めず, 入浴後両者とも1ml中に10^3〜10^5に上昇, 石鹸と水洗でかなり減少し, さらに逆性石鹸による消毒で入浴前と同様に清浄化された. 真菌は入浴前浴壁に微量に認めたが入浴後消失した.
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