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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1986: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
競技能力の重要な要因である集中力について、文献的研究,実験的検証の2つの側面から検討を行った。1.文献的研究;集中力に関する心理学的定義は確立されていないが、選択的注意能力とする記が多い。これにはいくつかの構成要素が認められ、選択性,持続性,普遍性,転導性,情動性などが階層性を成していると考えられる。2.実験的検証;実験では集中力、期待などを表わす神経生理学的指標と考えられている随伴陰性変動と背景脳波が作業パフォーマンスとどのような関連を持つかについて実験を行った。健常成人5名を被験者とし、予告刺激を伴う選択反応時間課題を用いた。脳波の導出は、【F_z】,【F_3】,【F_4】,【C_z】,【C_3】,【C_4】,【P_z】,【P_3】,【P_4】,【T_3】,【T_4】の多 子導出とし、時間的・空間的分析を試みた。その結果、正反応時に見られる前頭部早期陰性電位、それに続く両側性びまん性に分布する陰性電位が、信号見落しを含む誤反応時には、前頭部早期陰性電位の顕著な欠損が観察された(5%レベルで有意)。この早期成分が注意能力と密接な関連のあることが明らかにされたが、注意のどの構成要素と関わるのかについては今後の研究を必要とする。次に、集中力をコントロールする為に、集中力の欠損、即ち心的飽和状態時に、脳波上どのような特徴が見出せるかについてみた。クレペリン精神作業課題遂行時の脳波を記録し、高速フーリエ変換,パワースペクトルを求めた結果、前頭中心部において検出された4〜6【H_z】のO波成分の出現と加算作業量とに高い正の相関が見出された。この結果に基づき、バンドパス・フィルターを用い、O波増加のバイオフィードバック・トレーニングを1日30分,5日間行った。被験者は、O波自体のコントロール、それに伴った認知的媒体の習得を報告したが、トレーニング後の作業量とには一致した傾向は見出されなかった。脳波の他の成分も考慮したバイオフィードバック技法の検討が残された課題である。
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