Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 武彦 産業医科大学, 教授 (60122850)
横路 謙次郎 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (70034618)
御厨 修一 国立病院医療センター, 医長
小林 博 北海道大学, 医学部, 教授 (20000911)
入江 五朗 北海道大学, 医学部, 教授 (30001788)
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Budget Amount *help |
¥17,700,000 (Direct Cost: ¥17,700,000)
Fiscal Year 1987: ¥17,700,000 (Direct Cost: ¥17,700,000)
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Research Abstract |
放射線によって細胞死が起こるメカニズムは正確にはまだ十分に解明されていないと同様に, 放射線照射によって生体に生ずる種々の機能的変化のメカニズムも未知のものが非常に多いし, 種々の因子によって, 放射線の効果は修飾されることも知られている. 本研究では先ず, 今迄殆んど行なわれていなかった低線量全身照射の効果について検討した. 結果は, 低線量全身照射を担癌マウスに行なって, 6〜15時間後に腫瘍の局所照射を行なうと, 腫瘍の局所制御率が有意に上昇すること, 腫瘍細胞致死効果も有意に増加することが判った. この効果に近い効果は脾臓のみの照射によっても起こる所から, この効果が免疫系の関与によるものでないかと推定し, 腫瘍免疫学的検索を行なった. その結果は, 種々の腫瘍免疫検定法により, 低線量全身照射が担癌マウスの腫瘍免疫能を賦活化させる仂きをすることが証明され, 更にそれはマクロファージII分画が関与していることが示唆されている. この効果は臨床的に十分に応用可能と考えられる. すなわち, 低線量全身照射によって全身転移を抑え, 腫瘍の局所制御率を高めることが十分に予想される. 放射線治療においては, 腫瘍にのみ限局して放射線を与えることが出来れば, 腫瘍を根治するために十分な線量を与えればよいわけであるが, 実際は腫瘍周期の正常組織に対する照射は避けられず, そのため, 照射線量に自ら限界がでてくる. この至適線量が照射を受ける腫瘍や腫瘍が存在する部位によってどのように変るかを臨床データにともずいて検討し, 上顎癌及び子宮頸癌については至適線量の存在があることが判った. 又, 照射線量が多過ぎると微小転移が増加すること, その閾値は30Gyであることが動物実験の結果得られた. 又, 生体の腫瘍に対する防御反応を考えると, 現行の200ラド週5回法の治療法に種々の問題がある場合があることが示唆されている.
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