Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 紀 千葉県がんセンター, 疫学部, 部長
梶井 正 山口大学, 医学部, 教授 (40116710)
佐々木 正夫 京都大学, 放生研, 教授 (20013857)
池内 達郎 東京医科歯科大, 難研・細胞遺伝, 助教授 (90041839)
渡辺 昌 国立がんセンター, 疫学部, 部長 (60051637)
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Budget Amount *help |
¥10,100,000 (Direct Cost: ¥10,100,000)
Fiscal Year 1987: ¥10,100,000 (Direct Cost: ¥10,100,000)
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Research Abstract |
研究目的:本研究はヒト染色体上の遺伝性fragile site(脆弱部位,FSと略す)と染色体再配列が関与する発癌機構との関連性を明らかにするとともに, FSの発現機構とDNA構造変異を解析して発癌の分子機構の解明と発癌の予防に関する基礎的知見を得ることを目的とする. 研究成果:(1)一般集団におけるFSの検査ー1般健常人集団(1022人)を対象にFS検索を行い, 52人(52/1022,5.09%)の遺伝性FS保因者を検出した. 本調査により既知の3種類のFSのうち3郡6種類のFSと新しい2種類のFSが検出された. (2)FSと造腫瘍性染色体変異との関連性ー癌患者集団を対象にFS検索を実施し, これまでに239白血病症例中12例に4種類のFS保因者をそして, 308固形腫瘍症例中17例に3種類のFS保因者をそれぞれ検出した. この調査により, 前白血病症例, 肺癌症例および前癌症例においてFS保因者の頻度が高いこと, そして, 腫瘍特異的染色体再配列を示す癌患者の中にその切断点に一致したFS保因者が複数例存在することが明らかとなった. 今後, さらにFS調査を継続してFS保因者の発癌危険度を検討する必要がある. (3)FSの発現機構ーヒト・マウス体細胞雑種のチミジン非要求性および要求性株を用いた実験系において, 葉酸感受性FSのfra(x)(q27)の発現にはFS部位のDNA構造変異そのものが直接的に関与しており, その構造変異には低dTTPあるいは低dCTPに高感受性の高プリン/高ピリミジン塩基配列が関係している可能性が示唆された. 今後はFSのDNA構造の解析が重要な課題となる.
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