Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田沼 靖一 帝京大, 薬学部, 助手 (10142449)
上田 国寛 京都大, 医学部, 助教授 (00027070)
下山 誠 島根医大, 生化学, 教授 (30084859)
静田 裕 高知医大, 医化学, 教授 (50025631)
小西 陽一 奈良県立医大, がんセンター腫瘍病理, 教授 (00075061)
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Budget Amount *help |
¥14,900,000 (Direct Cost: ¥14,900,000)
Fiscal Year 1987: ¥14,900,000 (Direct Cost: ¥14,900,000)
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Research Abstract |
ポリADPーリボース合成酵素はクロマチン蛋白質のポリADPーリボシル化により, DNA修復や細胞の増殖・分化・がん化等の調節に関与することが, 酵素阻害剤を用いた実験により示唆されている. 我々はより直接的にポリADPーリボシル化の役割を明らかにするため, ポリADPーリボース合成酵素のcDNAのクローニングを試みた. その結果, ヒト線維芽細胞および胎盤由来のポリADPーリボース合成酵素cDNAのクローニングに成功し, 塩基配列を建定できた. 塩基配列より推定したヒトポリADPーリボース合成酵素の構造は1014個のアミノ酸よりなるペプチドで, DNA結合ドメインにはそれぞれシステイン・ZnDNA結合構造を含む約100個のアミノ配列の繰り返し構造があり, またDNA結合に必要とされるαーヘリックス・ターン・αーヘリックスの構造も存在した. さらにDNA結合ドメインにはSV40やポリオーマウイルスのT抗原の核局在のためのアミノ配列と類似する配列もみられた. ポリADPーリボース合成酵素のmRNAはレチノイン酸によるHLー60の分化に従い減少することも明らかにした. またヒト赤血球よりシステインをモノADPーリボシル化する酵素を見出した. これは百日咳毒素と類似した酵素と考えられ, 細胞膜におけるシグナル伝達の生理的調節機構に関与する可能性がある. またニワトリ肝臓核由来のモノADPーリボシル化酵素の内在性のアクセプタータンパク質p33は, DNAに依存してADPーリボシル化を受ける. ポリADPーリボシル化酵素の新しい強力な阻害剤4ーヒドロキシキナゾリンが見出され, テラトカルシノーマ細胞の分化を誘導した. また, 同様の阻害剤であるルミノールは, 実験肝発がんの系で酵素偏奇小増殖巣の発生を促進せしめた.
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