Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1987: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
|
Research Abstract |
我々はこれまでアルドラーゼB遺伝子が発現するための基本的な条件, およびその機構を検討して来た. 本年度の研究においては化学発癌により同遺伝子の発現が変化する場合, その機構がどのように変化するか検討を加えた. これまで, (A)アルドラーゼB遺伝子の発現量の高い正常肝, (B)発現量の低下している5meーDAB化学発癌へパトーマとMorris 5123D へパトーマ細胞, および(C)発現のない脳組織とAH130ヘパトーマ細胞などを用いて, 同遺伝子の発現と同遺伝子のクロマチン構造の特徴の関係, 同遺伝子のプロモータ領域の特徴, 組織特異的トランス作用因子について検討して以下のような事を明らかにして来た. 即ち, 同遺伝子の発現には, 1)クロマチン構造としては転写開始点0.3Kb 上流にDNase I高感受性領域の存在が必要2)転写開始点0.13Kb上流のHha Iサイト(-1サイト)が低メチル化であることが必要. 3)転写開始点0.14Kb上流のエレメントに結合する事の出来る分子量32.5kDaの蛋白質(p32.5)の存在が必要. (Footーprint法, Gelーshift アッセイによる)といったことである. また, CAT アッセイによる検討では上記エレメントが組織特異的エンハンサーである可能性も示された. 副腎摘除ラットによる検討からは組織特異的転写促進因子と考えられるP32.5の発現はGlucocorticoidに依存しているようであった. さらに, 本年度これまで検討した結果では3meーDAB化学発癌による肝癌発癌過程においても, 同遺伝子発現の変動はP32.5の核内濃度とほぼ平行し-1サイトの低メチル化と平行することが明らかとなっている. これらのことは胎児肝における同遺伝子発現変化の場合と良く類似していた. 今後, 上記P32.5の発現の調節機序を確かめる目的でP32.5のcDNAのクローニング ゲノム構造の解明がなされなければならないであろう.
|