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¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1987: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Research Abstract |
悪性脳腫瘍とか切除不能の悪性腫瘍を治療するための温熱療法の一つとして, 感温磁性体(インプラント)を腫瘍内部に埋めこみ, 外部より高周波磁場を印加し, インプラントの温度を42℃ないしは43℃に上昇させる局所加温に関するインプラント材料の基礎的研究を行った. インプラントは物性材料学的には, キューリー温度が45℃ないしは50℃程度の磁性材料であることと, 単位体積あたりの発熱効果の大きいことが必要である. 本研究では, まず高周波磁場発生用のトランジスターインバーター装置を作製した. また発熱の機構に関して, 電磁気学的に検討すると共に, インプラントの試料作製を行い, 材料の磁気的性質と空気中およびラットの悪性腫瘍内での発熱温度の測定を行い, 治療効果を検討した. また材料の腐食などのバイオコンパティビリティに関しても検討した. 研究結果を以下にまとめる. (1)トランジスターインバーターは出力2.5kw, 周波数250kHzで, 磁場発生用のコイルは直径15cm巻数4ターンと設計し, 磁場は最大約100エルステッドまで発生した. このコイルによって, 渦電流発熱とヒステレシス損発熱の両方を測定できることが実験で確認された. (2)発熱機構には渦電流と, ヒステレシス損の二種類が考えられるが, 前者の材料として, 透磁率, 電気抵抗値からFeーPt,FeーPd合金が適当であり, 後者の材料として, Fe_3O_4などの化合物が考えられることが判った. (3)FeーPt合金,FeーPtーSi,FeーPd合金のインプラント(直径1mm長さ10mm)を作製し磁性と発熱量を測定し, Feー27%Ptが最も良く, 従来の材料の約3倍の発熱量があることと塩水内の腐食は一月間全く見られないことが見出された. また, 化合物ではFe_3O_4が最大の発熱量を示した. (4)Feー27%Pt合金は動物内において, 表面温度が44℃まで上昇し, 治療効果があることが見出された.
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