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¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 1987: ¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
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Research Abstract |
C群色素性乾皮症細胞(XP)に欠損しているDNA修復因子(C因子)の機能を解明するため, 大量の細胞が入手可能なエールリッヒ腹水癌細胞より, 不定期DNA合成(UDS)の回復を指標としてC因子の精製を試みた. C因子は核タン白で核内では極めて安定である. 細胞質より核への移行は, 多くの核タン白がそうであるようにレクチンWGA(Weat Germ Agglutinin)により抑えられる. ゲル濾過による推定分子量は低イオン強度下では約60万であるが, 高イオン強度下では約30万となる. 現在, イオン交換, ゲル濾過, DNAーアガロース等のカラム操作を組み合わせて比活性にして約千倍まで精製することができている. この精製段階の標品をSDSーPAGEにかけると分子量約10万〜13万の範囲に数本のバンドがほぼ同一濃度で検出されることから, C因子はこれらのタン白の会合体である可能性が強い. 部分精製されたC因子はA〜H群のXP細胞においてC群においてのみUDSを回復させることができた. これまでに報告されているC群XP細胞に関する情况証拠から, C因子は修復酵素(エンドヌクレアーゼ)自身ではなく, 酵素量を調節する機能か, もしくはクロマチンの高次構造を変換させ, 損傷部位を露出させるような機能を有している可能性が高い. 事実我々の部分精製したC因子にはUVーエンドヌクレアーゼ, APーエンドヌクレアーゼ活性は検出されなかった. またC因子はタン白合成を阻害した状態のXP細胞でも有効なことから, その機能発現にはあらたなタン白合成は必要としない. しかしながらC因子にはクロマチンの構造変換に関与すると考えられるDNAヘリケース(DNA依存性ATP分解酵素活性で測定), トポイソメラーゼ活性は検出されない. 今の所, 唯一のC因子活性に付随する活性は, DNA結合能であるが, 今後更に精製を進めると同時に, クロマチンの構造変換に関与する諸活性の測定を併行して進めたい.
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