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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
癌に対する直流通電療法の適応を, 深在性腫瘍に拡大する目的で, 血管造影の手技により陰極を血管内に留置する経血管的直流通電法を開発し, その問題点,安全性,効果について実験的に検討し以下の結果を得た. 1.陰極の素材について 家兎腎に陽極を, 下大静脈内に白金製陰極を置いた予備実験で, 陰極における水素の発生が致命的塞栓をおこす事を知った. 水素発生のない電極として, 銀・塩化銀電極を開発し, さらに陰極周囲のアルカリ化による血管壁障害を軽減するため中空系状マイクロフィルタで被覆する事を考案し, 10cm長の電極で140クーロンまではガス発生の無い事を確認した. 2.陰極留置血管と血管壁の変化 家兎腎または肝に陽極を刺入し, 被覆した銀・塩化銀電極を下大静脈または腹部大動脈に留置して20クーロン,50クーロン通電後, 血管壁の変化を組織学的に検討した. 下大静脈に留置した場合には, 通電直後, 3日,7日目とも内皮の剥離や平滑筋線維の壊死等が見られたが, 大動脈壁では殆ど障害を認めず, 陰極留置血管としては大動脈が適当と考えられた. 3.陽極側の変化 陽極を刺入された腎および肝では, 電極の露出部を中心とした黒変域を生じ, その大きさは通電々気量と相関し, 陰極留置血管とは無関係であった. 組織学的には上記黒変域は壊死巣で, 同部を通る血管支配域の一部にも壊死をみる以外, 他の部位には変化はみられなかった. 以上の結果から, 経血管的直流通電法は, 適当な陰極を大動脈内に留置すれば安全に施行可能で, 陽極の位置,電気量を選べば任意の範囲の壊死化が可能で, 深在性腫瘍治療への適用の可能性が示唆された. 実験腫瘍への効果について今後検討を進めたい.
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