Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 哲雄 愛媛大学, 工学部, 助教授 (70036490)
松田 治 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (60034469)
坂本 亘 京都大学, 農学部, 助教授 (50013587)
今里 哲久 京都大学, 理学部, 助教授 (40025391)
岡市 友利 香川大学, 農学部, 教授 (90035965)
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Budget Amount *help |
¥9,000,000 (Direct Cost: ¥9,000,000)
Fiscal Year 1987: ¥9,000,000 (Direct Cost: ¥9,000,000)
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Research Abstract |
本年度は, この研究の最終年度として, 大阪湾中央部に存在する水温塩分フロントの実態を把握することを主体とした観測航海(広大・豊潮丸)を5月中旬に実施した後, これまでの観測試料や資料の分析と解析を進め, さらにそれらの成果に基いて, 流動班, 底層班, 生物班のそれぞれ, および流動班-底層班間, 流動班-生物班間のそれぞれ数回にわたる討論を行い, その結果を研究成果報告書にまとめた. その主な内容は次のようである. 1.流動班では, 海域の物理的な緩衝作用もしくは緩衝能力の表現としていわゆる平均滞留時間をとるのが適当であることを示し, それに対する隣接海域との海水交換の変化やフロントの存在の重要性が論じられた. また, 生物現象まで含めた物質循環の簡単なモデルが提出され, 生物の作用を物質の粒子化と沈降と捉えた場合, 溶存態と粒子態とを合わせたその物質の平均滞留時間は大きくなる可能性の高いことが示された. 2.底層班では, 大阪湾における海底高濁度層の季節的な変化と移動ならびにその要因の詳しい検討結果を示すとともに, 燧灘での観測から, 海底高濁度層にもたらされた有機炭素の50〜90%がこの層の中で分解されていると考えられることを示した. 3.生物班では, 大阪湾について親生物元素とくに重要なリンの分布と季節変動を詳しく論ずる一方, 動物プランクトンについて富栄養化の程度の大きい湾奥側で単位重量当たりの摂食速度, 非糞速度等の高い小型のカイアシ類が優占するという極めて示唆に富む結果を示した. 4.以上の成果はそれらの相互検討を通して互いに関連しあっていることが深く認識されたが, それを完全にまとまった形で示すのはまだ情報も時日も不足であるとの判断から無理な統一と避け, その点に関しては各班研究者の自由な表明にとどめることとした.
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