Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MANOP Rakusa タイ鉱物資源局, 鉱床部, 主任研究官
BENJAVUN Rat チェンマイ大学, 理学部, 助教授
山元 正継 秋田大学, 鉱山学部, 講師 (80191443)
北 逸郎 秋田大学, 鉱山学部, 助教授 (10143075)
高島 勲 秋田大学, 鉱山学部, 助教授 (50163192)
秋林 智 秋田大学, 鉱山学部, 助教授 (90006669)
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Research Abstract |
タイの地熱は, ヒマラヤ造山帯の後背地の安定地塊上に発達するもので, 火山活動を伴っていない. しかし, 高い地殻熱流応で特徴づけられるとともに, 沸騰泉を含む多数の温泉が認められる. 本研究は, そのような非火山性の地熱活動の熱源・湧出機構等を地球科学的な手法により解明しようとするものである. 本研究により, 日本にも多く存在する非火山性地熱の成因を求めることができる. また, 深部における熱水循環メカニズムのうち, 火山性物質のない, 純粋な岩石ー水反応についてもデータを得ることができる. 以上の成果, 今後開発が予測されている高温岩体の熱水循環システムの解明に役立つものである. 昭和62年7ー8月の約40日間, 現地の調査を次のような成果を得た. (1)温泉・土壌ガスの分析ー約120個の試料を採取するとともに, 現地でCO.ナ_<2.ニ>, ラドンガスの分布図を作成し, 深部断裂の位置を予測した. (2)新期火山岩の解析ー約100個の試料を採取するとともに, 玄武岩溶岩, スコリヤ分布域の地質図を作成した. (3)岩石中の放射性元素の分析ー花崗岩を中心に約100個の試料を採取するとともに, 岩相分布造図を作成した. (4)変質岩及び火山岩の年代測定ー変質岩は石英脈, 方解石脈を主体に年代測定を行うが, そのための試料約50個を地表及び試錐コアから採取した. また, 火山岩については, 玄武岩を主体に約10個の試料を採取した. (5)変質岩及び温泉水の化学分析ー変質岩約50個温泉水約20個の試料を採取するとともに, 地表の変質帯分布を作成した. (6)流体包有物の測定ー年代測定を行ったのと同じ石英脈, 方解石脈試料について測定を行い, 熱史を明らかにする. (7)貯留層モデルの作成ー浅部熱水系の評価のための坑井データを収集するとともに, モデル計算に必要な標高, 坑井位置の測量をおこなった. 帰国後の試料・データの処理は現在進行中であるが, 予察的な結果として, 異常に高いHe濃度(原因については現在検討中), これまでより若いと思われる玄武岩の存在, 流体包有物から予想される地下温度が地化学温度計で求められた温度より低いことなどが明らかとなった. 昭和63年度は, 収集した資・試料の分析・データの解析を完成するとともに, タイ測の研究分担者を招へいして研究結果の討論とタイと日本の地熱資源の相互比較を行うことを計画している. さらに, 昭和64年度は異なった地質条件の場所での各種研究項目の違い, 雨期と乾季でのガスや貯留層内条件の変動を検討するため, 補足的な現地調査を予定している.
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