Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 嘉倫 横浜市立大学, 商学部, 講師 (90196288)
隅田 裕明 日本大学, 農獣医学部, 専任講師 (70147669)
杉山 悦朗 東京医科歯科大学, 医学部, 講師
広田 純一 岩手大学, 農学部, 講師 (00173287)
八木 宏典 東京大学, 農学部, 助教授 (00183666)
原 洋之介 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (60012986)
津野 幸人 鳥取大学, 農学部, 教授 (00036287)
小出 進 東京大学, 農学部, 教授 (60003745)
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Research Abstract |
開発途上国の主産業は農業であり, その地域生態系構造については人間・自然系の原型に近いものとして多くの調査研究がある. またその発展には灌漑開発が最も有効なことから, その工学的・技術的研究にも多くの蓄積がある. しかし, 灌漑開発はその結果として地域生態系構造の拡充改組を余儀なくするにもかかわらず, 両者の研究手法を結合して, この地域生態系の再構築過程を総合的に扱う中で, 灌漑開発等の合理的あり方を追求する研究はなお未開拓なままである. そこで, 本調査研究は, 地域生態系が, 低水準ながら最も高度な生態学的平衡を形成維持してきた天水田地域を対象とすることによって, 灌漑開発に伴う地域生態系構造の変化を調査・分析し, これをもとに新たな平衡状態の再構築要件を考察・導出しようとするものである. 低水準ながら高度な生態学的平衡が長期に亘って維持されていた地域生態系が, 開発行為によって急変革を余儀なくされている典型例として, 南アジアの天水田地域の最近の灌漑開発地の村落と選び, その (1)地域生態系の構造, 特にその自然構造, 生産構造および生活構造の相互関係構造 (2)灌漑開発に伴う地域生態系構造の変化と随伴する系要素間の不整合の発現状況 (3)前項の不整合の解消過程 などを, 導入灌漑開発の仕様・機能と併せて調査し, 地域生態系に発現した不整合の灌漑開発機能との関係づけを試みる. 調査は主として試・資料収集.ヒアリング等により昭和62年度に達成するが, (3)不整合の解消過程については現象のトレースに依る他ないので, 観察集落を設定し, 現地研究者の協力のもとに経過記録を続けた上で, 2年後に再調査して把握するものとする. 62年度本調査は, 現地研究者の適切な協力が得られたこともあって, それぞれ十分な成果を得ることができた. また, タミルナドウ州とテライ地方については予定どうり精査地区を設定することができ, それぞれ現地研究者のグループによる継続観測体制を作った. 以上3調査現地からの発送試料,調査途上のニューデリー, カトマンズで収集した統計・文献資料等は既に到着しており, 現地研究者からの継続観測資料も到着しつつあり, 目下, それらの整理・分析中である. 63年度は収集資料の分析と一次取りまとめと並行して観察集落調査のフォローを継続し, 64年度に予定している2次調査を経て, 環境計画学的観点から地域生態系の再平衡構築要件を総合考察する.
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