Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩沢 康裕 東京大学, 理学部, 教授 (40018015)
渡部 良久 京都大学, 工学部, 教授 (70025956)
市川 勝 北海道大学, 触媒研究所, 教授 (70176288)
田中 虔一 東京大学, 物性研究所, 助教授 (00016718)
宮下 晃 埼玉大学, 工学部, 助教授 (90132729)
吉田 寿勝 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (50029443)
伊藤 健兒 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (60023149)
辻 二郎 東京工業大学, 工学部, 教授 (00016685)
中村 晃 大阪大学, 理学部, 教授 (80029404)
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Budget Amount *help |
¥9,800,000 (Direct Cost: ¥9,800,000)
Fiscal Year 1987: ¥9,800,000 (Direct Cost: ¥9,800,000)
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Research Abstract |
有機金属化学及び触媒化学は互いに密接に関連した重要な分野であり, 英国及びわが国では水準の高い研究が行なわれている. 今回の調査研究の目的はこの重要な領域の研究を促進するため, 英国における有機金属化学及び触媒化学の研究体制, 研究設備を含む研究動向に関して直接調査を行なうことにある. この調査により今後有機金属化学及び触媒化学の研究を推進する上で有意義な指針がえられるものと期待される. この調査期間中及び実地調査終了後の参加者のレポートに基づく意見を次にまとめる. 1)英国においては有機金属化学及び触媒化学における研究テーマの取り上げ方は, 非常に理学的であり, 応用への考慮はほとんど払われていないなど, 研究方針には日英の間にかなり違いが認められる. 有機金属化学においては金属クラスターを研究対象とする研究者が圧倒的に多く, 非常に多彩なクラスター錯体が合成されているが, 触媒反応に応用する研究はほとんど行なわていない. 一方, 我が国においてはかなり有機化学に偏っており, 無機化学的興味を追求する英国の研究者と対照的である. 触媒化学の研究においても, 似たような状況があり, ある程度応用を指向し, 意識する日本側研究者と異なり, 英国における研究は極度に表面化学に偏っており, 実際的応用とはほとんど無縁の研究が行なわれている. このような偏りは, ノーベル賞級研究を生みだす可能性を内蔵しているが, 全体的学問水準を上げるには多少問題があるように感じられた. 2)英国における研究は長い伝統に基づいて, 優れた環境の中でゆったりと行なわれており, 工作室等の研究補助システムも日本にくらべ充実している. 中でもオックスフォード大学Green教授の金属蒸気法を用いる錯体合成や, リバプール大学触媒研究所Heaton教授の高圧NMR分光法を用いる高圧触媒反応活性種の研究など, 他の追随を許さないような高度のテクニックを要する研究が印象的であった. 以上を総括すると, 英国の研究の進め方には見習うべき点も多いが, テーマが偏りすぎている傾向がある. 一方日本の研究者は概して応用に敏感であるため, 今後一層研究補助システムの充実を図る等, 研究環境を整えさえすれば, ある程度自然にバランスのとれた研究成果が生まれてくるであろうというのが調査研究参加者の一致した意見であった.
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