Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
S.S THEKKAMA タミル大学, 社会学科, 教授
B BANERJEE カルカッタ大学, 地理学科, 教授
宮町 良広 名古屋大学, 文学部, 教務補佐員 (50219804)
宇佐美 好文 大阪府立大学, 農学部, 助手 (40081559)
溝口 常俊 富山大学, 教養部, 助教授 (50144100)
鹿野 勝彦 金沢大学, 文学部, 助教授 (00169591)
重松 伸司 名古屋大学, 文学部, 助教授 (20109242)
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Research Abstract |
発展途上国の農村地域の発展・農村住民の福祉向上のためには,単に農業生産を高めるだけでなく,農業生産物の販売と消費財・サービス供給を担う流通機構の改善・整備が緊要とされる. ところで,発展途上国農村の末端流通機構としては,各種の市(market)が最も重要な役割をはたしているが,これらの市とそれに関わる商人に関する研究は立ち遅れている. 本研究は,インド亜大陸においてジャジマニ制(村落内分業体制)の解体と関連しつつ農村地域における流通機構として重要な役割をはたしてきた各種の市(常設市,定期市,大市,集荷・卸市)と,それをめぐる各種の商人集団について,その現況と歴史的展開過程とを現地調査を通じて明らかにしようとするものである. 今年度の現地調査は,主調査地域(インド,西ベンガル州ミドナプール県タムルク郡)及び副調査地域(ネパール東部地域),補充調査地域1(バングラデシュ,タンガイル県)及び同2(インド,タミルナード州セーラム県)においてほぼ予定通り実施された. 主調査地域では,第1次調査の対象地域で在ったバングラデシュや南インド,タミルナード州に比べ,流通システム全体に対する定期市の役割が低下している事,配給(小売)機構においては常設店舗が,集荷(移出)機構においては専門化した毎日市がそれぞれより重要な役割を果たしている事が明らかになった. これは,この地域が都市化. 工業化の進んだ西ベンガル州の中にあって,商業的農業(ベテルリーフ生産)や家内工業(綿織物)を発展させており,住民生活の商品経済化の程度が高いことによって説明される. なお,前回の調査及び文献研究により,当地方の定期市については,旧ザミンダール(大地主)層の支配が存続しているものと予想していたが,現地調査の結果,左翼政権の下にあって,そのような支配関係が実質的に弱体化されている事が明らかとなった. 副調査地域は山岳地域であるが,ここでは平地部と異なり,高度差による生態系の差異及び異部族の住み分けに対応して,定期市取引においても,異なった生態系,異なった部族間の取引が卓越する事が明らかにされた. 補充地域1においては,前回の調査が乾期に行われたのに対し,今回は雨期の状況が調査され,商人や買い手の移動手段が根本的に異なる(雨期には小舟による)事が確認された. 補充調査地域2では,前回の調査が不充分であった項目,即ち,市と商人集団の展開過程及び農産物販売の現況に関するデータの収集が行われた.
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