Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 慶龍 南京大学, 地球科学系, 講師
施 央申 南京大学, 地球科学系, 教授
小嶋 智 名古屋大学, 理学部, 助手 (20170243)
服部 勇 福井大学, 教育学部, 助教授 (60020111)
矢入 憲二 岐阜大学, 教養部, 教授 (20022650)
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Budget Amount *help |
¥5,200,000 (Direct Cost: ¥5,200,000)
Fiscal Year 1987: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥5,200,000)
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Research Abstract |
西太平洋と中国大陸の関係は,地球のテクトニクスの課題の中で残された最も大きな問題である. 本海外調査の目的は,この興味ある課題に関して重要な鍵となる地域を選び,日本列島との関係を考えながら,予備調査の結果を念頭において,揚子卓状地とその北に沿う秦嶺構造帯の現地調査を行い中国大陸東部の地体解析を試みるものである. 本年度はこの海外学術調査の本調査として揚子卓状地およびその北の秦嶺構造帯の地質調査を行った. 得られた成果の概要は以下の通りである. (1)揚子卓状地本体には,古くから知られているように先カンブリア代の変成岩を基盤として古生代〜中生代の堆積岩類が整然と堆積しているが,今回の調査で,卓状地北縁部には低角の衝上断層帯が発達しており,その地域が地体構造上は北米大陸のロッキー山脈タイプの地帯であることがわかった. (2)揚子卓状地北縁部は岩石としては先カンブリア代のものが分布しており,共同研究者である南京大学のグループの最近の研究によれば,先カンブリア代の末期に,次々と揚子卓状地に付加したテレーンであると解釈される. 今回我々はその地域の調査を行い,中生代の付加過程によってできた日本列島と構造を比較し,時代による付加の違いについて検討を加えた. (3)秦嶺構造帯自体の形成は最近の地球科学界の大きな問題の1つで,多くの学者の注目を集めているが,その形成時期については, 大きくみて, 古生代とするものと, 中生代とするものがある. 我々の今回の調査では, それに対する明確な回答は得られなかったものの,中生代に主要な形成が行われ,その後現在に至るまで活動を続けている,大陸内部にある山脈としてはめずらしい地域であることがわかった. これはインド亜大陸とユーラシア大陸との衝突に関係があるものであろう. 今後の研究の方向としては,(1)正確な化石層序にもとづいた秦嶺構造体の形成年代の確定,(2)南北中国の地塊の古地磁気の測定,(3)中国大陸の地体構造図の作成,(4)およびその生成過程の解明があげられる.
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