Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
R A L ヴナワルダナ スリランカ国パラデニヤ大学, 準教授
ニティ イヨウシリウォン タイ国チェンマイ大学, 人文学部, 教授
Y プラサート タイ国チェラロンコン大学, 政治学部, 教授
A B ラピアン インドネニシア科学院, 社会経済研究班長
奥平 龍二 東京外国語大学, インドシナ語学科, 教授 (30143621)
吉川 利治 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授(併任)大阪外国語大学・タイ・ベトナム科教授 (60030144)
五十嵐 忠孝 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (30107510)
土屋 健治 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (60009701)
福井 捷朗 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (10027584)
石井 米雄 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (70027580)
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Budget Amount *help |
¥18,500,000 (Direct Cost: ¥18,500,000)
Fiscal Year 1987: ¥18,500,000 (Direct Cost: ¥18,500,000)
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Research Abstract |
相互に関連する二つの事項を調査することが本研究の目的である. 第一は, 東南アジアの都市形成に及ぼした「外文明」の役割りを古文書研究,碑文研究のような歴史学的調査に現地調査の成果をつみ重ねることによって明らかにすることである. 具体的には, 東南アジシと「外文明」世界を総合するネットワークの形成,このネットワークに沿って展開する宗教と法観念の受容と変容, 都市を中心に成立する新たな文化圏や新たなアイデンティティなどについて, 現地実態調査を通じて明らかにする. 第二は, 現在東南アジアの各地域において拡大しつつある都市を都市圏域の拡大としてとらえつつ, この圏域における都市的世界と農村的世界との間の相互浸潤の状況の具体相を, 生産体系,人口移動, 文化シンボル等について明らかにすることである. 本計画は本年度を第一次として再度の海外調査を槁想している. 予備的な考察を含めて得られた研究実績の概要は次の通りである. (1)大陸部東南アジアとくに上座仏教圏の宗教体系と王権秩序に及ぼした南インド文明の影響を考察する際に, その伝播のチャンネルとして, ビルマやタイのモン族とモン語文化の果たした役割は, 従来考えられていた以上に大きい.そこではまた, 東南アジア的変容が生じたことが認められ, モン語碑文・モン語文献の本格的研究は東南アジア文明圏成立の過程における「失われた環」を復原するものとして今後益々重要な課題となるだろう. (2)東南アジアにおける都市と農村の関係は, 上述の上座仏教の東南アジア化の例に限らず, ヒンドゥやイスラムなどの世界宗教の東南アジアにおける拠点(王都=都市)と土着の基層社会(農村)の関係としてとらえることができる. 両者の相互浸潤の様相は, 現在進行中の近代化の過程である場合には反発し別の場合には親和性をましつつ, 一層緊密となっている. この親和性ないし反発性を招来する条件を探ることは, 今後の課題である. この点に関連して, カトリシズムの到来迄世界宗教の影響から自由であったフィリピンの都市圏域の特質及びそこでの都市と農村の関係を明らかにすることも今後の重要な課題である. (3)バンコク, ジャカルタ等の巨大都市は経済開発の拠点として同質的な発展をとげているかにみえるが, 都市文明を支える「市民」の性格や都会的な民衆文化のあり方は, 実際にはますます異質性をきわだたせてきている. すなわち各国ごとの「国民文化」がそれぞれに内向化しつつあることが認められるのであるが, これについてもさらに東南アジアのさなざまな大都市との比較研究が必要である. (4)首都が肥大化するのに呼応して, 地方の中小都市が第二次人口集中センターとしての役割を強めてきている. その発展のパターン及び辺渡社会との関係のあり方を探ることが今後必要とされる.
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