Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
P.A CORDERO フィリピン国立博物館, 文化財課, 主任
野呂 忠秀 鹿児島大学, 水産学部, 助手 (20117534)
中原 紘之 京都大学, 農学部, 助手 (80026567)
小河 久朗 東北大学, 農学部, 助手 (20005656)
山本 弘敏 北海道大学, 水産学部, 助教授 (00001610)
大野 正夫 高知大学, 海洋生物教育研究センター, 教授 (10036543)
奥田 武男 九州大学, 農学部, 教授 (80038174)
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Research Abstract |
フィリピン諸島の南部の熱帯性,中部の熱帯・亜熱帯制及び北部の亜熱帯温帯性の海藻相を調査研究して,海藻の分布の中心である印度洋ー西部太平洋からからフィリピン諸島を経て,台湾及び日本諸島へと海藻の分布が拡大してきた様相を明らかにする. 併せて,有用海藻類の種類・分布・生態・現存量等を調査して,フィリピン諸島を含む暖海性海藻資源の開発・利用及び増産についての基礎的知見をうることを目的としている. 第1回調査(昭和60年度)はフィリピン国ビザヤス(パナイ・セブ・レイテ)であったが,今回(昭和62年度)の第2回調査はミンダナオ島(ザンボアンガ),セブ島(セブ)及びパラワン島(北部・南部)を行った(図). マングローブ樹林周辺は藍藻(ワダモ・ユレモ・リブラリア・アイミドリ),サンゴ礁リーフ上は藍藻(オークダモ)が繁茂しているのが特徴であった. 緑藻類は18種,褐藻類は27種,紅藻類は35種が採集され,それぞれ3種1変種,1種及び7種は前回(ビザヤス)で採集されなかった熱帯・亜熱帯種が発見された. 寒天原藻となる紅藻オゴノリ科は3属10種で,うちカバノリ及びオオオゴノリに似た(未同定)が発見された. 海産種子植物は6属9種で,うち3属3種はパラワン島新産種であった. パラワン島15然点の植物プランクトン数は116〜44,515コロニー,細胞数/lで,9種は主要出現種であった. 褐藻ホングワラ群落がパラワン島全沿岸に分布し,スル海側よりは東支那海側に多く繁茂していた. 同群落は浅所(2〜3m水深)に繁茂し,その現存量は2〜3Kg/m^2,海産種子植物(リユウキコウアマモ類・ウミショウブ類)は0.5〜4.6Kg/m^2あった. 寒天原藻オゴノリの生長率は日当り1.0%で,前回(昭和60年度)調査のカラギナン原藻のキリンサイのそれよりやや低い生長率であるが,養殖に適していると思われた. ホンダワラ類のヤバネモクの成熟はおそいが,ウミウチワ属及び海産種子植物(ウミショウブ)は9〜11月に成熟する. パラワン島の水温(10〜11月)は30.05〜33.1℃(平均31.3℃),塩分量は28.7〜33.22%(平均32.7%)であった. 紅藻(2種),褐藻(ホンダワラ類),緑藻(数種)が食用とされ,駆虫薬となるマクリ(紅藻),皮膚がかぶれる藍藻(オークダモ)がサンゴ礁リーフに多産した. 次回(第3回調査,昭和64年度)は,ルソン島北部と南部の2地区を計画している.
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