Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAYMOND Juss コーネル大学, 農学部, 研究員
ROBERT G.Lee ワシントン大学, 森林資源学部, 教授
山田 良治 和歌山大学, 経済学部, 助教授 (00135831)
満田 久義 仏教大学, 社会学部, 助教授 (60131306)
松下 幸司 京都大学, 農学部, 演習林助手 (90199787)
岩井 吉彌 京都大学, 農学部, 助教授 (40093190)
赤井 英夫 鹿児島大学, 農学部, 教授 (90041665)
船越 昭治 岩手大学, 農学部, 教授 (20003725)
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Budget Amount *help |
¥10,000,000 (Direct Cost: ¥10,000,000)
Fiscal Year 1987: ¥10,000,000 (Direct Cost: ¥10,000,000)
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Research Abstract |
現在, 木材に関する市場開放問題が日米間の懸案になっている. それは日米両国とも木材工業が地場産業として発展し, また林業に依存する山村が少くないので, 木材や林業をめぐる経済環境の悪化が, これらの地域にとっては死活の問題だという事情があるからである. しかしこうした経済環境の変化は, 各々の国の歴史や文化などによって相異するであろうから, それら地域の社会構造や産業構造に遡って分析しなければ, 真の解決はえられない. しかし現実には米国の木材産業や山村に関する情報は案外少いので, この調査ではワシントン州を中心とした太平洋沿岸諸州の木材工業地帯と山村についてフィールドサーベイを行い, 近年の構造変化について解明しようとするものである. ワシントン州を中心とした木材工業ならびに山村の実態調査を実施し, 分析の結果得られた結論はほぼ次のとおりである. ワシントン州は今世紀はじめから, 林業並びに木材工業の盛んな州で, これら産業に依存した山村が多く形成されてきた. ところが1960年以降, 森林の伐採が急激に進み, とくに地域の森林が一時に大量伐採された地方では森林の再生が追いつかず, 森林資源を利用していた木材工業とそれに支えられた山村は一挙に崩壊するという現象が発生した. その中で従来の林業や木林工業に依存した山村から観光やレクリエーションに依存した山村へと転換し成功した例がいくつか見られる. しかしそうした成功例は, 比較的大都市に近く, かつ自然景観等に恵まれた地域に限られるといってよい. カナダB.C.州でも同様に多くの山村が崩壊したが, 大都市から遠隔地であるため, ワシントン州のような転換例はきわめて少ない. さて近年, ワシントン州では森林資源の内容が変化し, 原生林の大径木が減少する一方, 二次林の小径木が急増してきている. それは製材工場にとっては, 製材品の材質低下を意味するものである. 製材業ではこうした事態に対して生産設備や生産品目を変え, また従来からの主要な販売市場であった東部市場から西部や日本市場へと大巾変更した. しかし材質の低下はもともと低質材であるカナダ材と直接競合の関係に入ることを意味した. 1985年にカナダがアメリカ向け製材品に自主関税を課したのもこうした競合関係の象徴である. 今後ワシントン州の製材業は, カナダ及び日本の製材業とますます激しくせり合うことになろうが, こうした製材業の動向が日米両国の, 林業や木材工業に依存した山村に大きな影響を及ぼすことは必要である. 63年度にはワシントン大学のリー教授を招いて共同で日本の調査を行い, 日米の比較を行う段階へと研究を進める.
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