Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金原 保夫 東海大学, 文学部, 講師 (20161614)
禿 仁志 東海大学, 文学部, 助教授 (10186009)
近藤 英夫 東海大学, 文学部, 助教授 (70119676)
篠崎 三男 東海大学, 文学部, 助教授 (20130065)
茂 盛美郎 東海大学, 文学部, 助教授 (70056208)
関根 孝夫 東海大学, 文学部, 教授 (70119684)
鈴木 八司 東海大学, 文学部, 教授 (10055692)
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Research Abstract |
ブルガリア人民共和国スリヴェン県デャドヴォ村近傍に存在する(テル)は, 南東ヨーロッパ地域最大級の先史遺跡である. このテルは, 12〜13世紀より新石器時代に至るまでの層より成っており, トラキア人の起源の問題をはじめとして広く南東ヨーロッパと小アジアとの関係について, 数多くの重要な問題を解明するかぎをにっぎっている遺跡である. これまでの調査から, 将来はカラノヴォ・テルに代わって, 考古学編年の基準となることが予想されている. またこのデャドヴォ遺跡を中心としてトラキア地域の発掘調査の進展により, これまで多くの不明な点があったトラキア, 南東ヨーロッパ, エーゲ海・アナトリア地域の古代文化の発展に関する広範かつ重要な諸問題を解き明かす手掛かりが得られるに違いない. 昭和62年度の発掘調査は, 6月8日より7月2日かけて行われた. 調査実施に関する国際的協力体制と調査方式の原則は俊来と何ら変わるところはない. 調査地区は昨年同様, 遺跡中央北側部分である. 調査遺構は昨年より継続しているものと, 新たに検出されたものとがあるが, それらの知見についての詳細は, "デャドヴォ遺跡(ブルガリア)発掘調査概報(1987)", 「バルカン・小アジア研究」XIV号, 東海大学足利記念バルカン・小アジア研究センター, 1988, 所収, を参考にしていただきたい. 本年度は例年になく充実した周辺遺跡調査を地施することができたが, それについての報告は, 上記の「バルカン・小アジア研究」XIV号, に記載されている. 本年度も, 遺跡より採取した炭化物試料を日本に持ち帰り, カーボン14法による年代測定を依頼した. この結果も, 同様に上記「バルカン・小アジア研究」XIV号, に掲載されている. なお本年は, 三笠宮崇仁殿下ご夫妻が発掘現場へご来訪になり, ブルガリアのヨルダノフ副首相, 駐ブルガリア日本大使を伴われて, 遺跡をつぶさに見学された. 本調査出発に先立つ4月24日, 東海大学湘南校舎付属伝書館11号分館にて, 三笠宮殿下をリーダーとする中近東文化センターのカマン・カレホュック(トルコ)遺跡調査団と, 東海大学デャドヴォ発掘調査団との間で共同報告会が開かれており, 発掘現場, 共同報告会の双方において, 三笠宮殿下からは調査を進めていくうえでの非常に有意義なお話, ご指摘をたまわることができた. 本年度は金属製ヤグラやセクション・プロフィル剥ぎりと用薬品等を発送し, より綿密な発掘調査を期したのであったが, 船便到着が大幅に遅れ, 予定していたプログラムの一部は来年度送りとなった.
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