Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
アイニイ ザカリア MARDI, 研究官
チャバリット ニゴムサム 森林局, 植生部長
ザハリ アブ バーカール MARDI, 研究官
ピスット ビチャンソン 土地開発局, 調整官
サマン バニシャボン 土地開発局, 研究官
ソラシット バチャロタヤ カセサート大, 農, 教授
武田 博清 京都大, 農, 助手 (60109048)
岡崎 正規 農工大, 農, 助教授 (00092479)
米林 甲陽 京都府大, 農, 助教授 (00046492)
原 徹夫 岐阜大, 農, 助教授 (50021720)
鈴木 邦雄 横浜国立大学, 経営学部, 助教授 (30018048)
足立 忠司 岡山大, 農, 教授 (20012007)
長野 敏英 農大, 総研, 助教授 (10012006)
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Research Abstract |
東南アジアの島嶼部の沿岸地域では, 前縁のマングローブが占める汽水性潮汐湿地の後に, さらに広く淡水湿地が広がり, 湿地林(Swampforest)を形成している. これら低湿地の総面積は約2000万haと推定される. 東南アジアの湿地林下の土壌は泥炭土壌であり, 木本の遺体を主母材としており, 無機物含量が低く, 強酸性で貧栄養(Oligotrophic)である. これら低湿地林においては, この低湿地の特異な立地, 生態環境などの特性についてほとんど理解されないまま, 今日急速に開発の手が伸びようとしている. 本研究は, 未だ十分に解明されていない低湿地林の植生の群落構造及び土地形態, 泥炭土壌の生成過程, 分類, 物理的・化学的・生物的諸特性ならびに肥沃度, また開田・開畑に伴う土壌肥沃度の変化などの究明を, タイ・マレーシアの科学者と協力のもとに推進し, 東南アジアの低湿地林の今後の土地利用と環境保全のための基礎的知見を得ようとするものである. タイ国ナラチワ州の低湿地においては61年度の予察調査を基礎として本格的調査研究を, マレーシア国のジャランケブン・ボンチアン両低湿地帯においては泥炭層・植生・細物栽培等の予察調査をそれぞれ実施した. 以下ナラチワの調査研究結果を要約する. 1)低湿地林の調査:自然林ー二次林ー(火入れ)ー水田あるいは畑ーメラルカ林の群落遷移を推定し, 低湿地林下の 土壌は, 土壌土,酸性硫酸塩土壌およびこれらのアソシエーションからなり, 低いpH(3.8〜0.3)および表層土の小さい仮比重(0.1〜0.3)で特徴づけられることを示した. バルーンから撮影した空中写真を用いて画像処理による植生図の作成と主要植物群落の土壌の特性付けを進めている. 2)泥炭土壌及び酸性硫酸塩土壌に(1)対照区, (2)表層に石灰混入区, (3)作土層下に石灰礫敷設区, (4)石灰+石灰礫敷設区(2)と(3)併用区)の処理を施した試験圃場を設け, 酸性改良効果を検討している. その結果, 表層に石灰粉末を混入する方法は即効性はあるが, 持続性に欠け, 一方作土層下に石灰礫層を敷設する手段によると, 徐々に石灰礫層付近から土壌改良が進み作物栽培が可能となることが示唆された. 3)泥炭土壌に炭カルおよび微量要素の無添加区と添加区を設けて, 水稲2品種(RDー11, RDー25)を栽培したポット試験を実施し, 炭カル無添加区では両品種とも生育が悪く, 炭カル添加による両品種とも生育が良くとくにRDー11では穂数および稔実歩合が著しく上昇した. 生育に対する微量素添加の影響は明かではなかった. 4)調査地域における作物栽培の制限要因は水分供給にあり, a)ビニール圃場の造成(強酸性地下水の遮断, 降水の有効利用等), b)高吸水性ポリマーの利用(土壌の保水特性の改良), c)マルチ処理(土壌水分保持及び温度の上昇抑制)により, 如何に水分管理を有効に行なうかの検討を開始している.
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