Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SUDARTO Soek アイルランガ大学, 医学部医動物, 助教授
AGUS Wiharta インドネシア大学, 医学部微生物, 講師
SUMARMO スマルモ インドネシア大学, 医学部小児科学, 助教授
SUJUDI スユディ インドネシア大学, 医学部・教授, 学長
竹上 勉 金沢医科大学, 熱帯医学研究所, 講師 (10113490)
白幡 聡 産業医科大学, 小児科学, 助教授 (10081712)
船原 芳範 神戸大学, 医学部生理学, 助教授 (90030840)
藤田 宣哉 京都府立衛生公害研究所, 微生物部, 課長 (30030844)
松村 武男 神戸大学, 医学部, 医動物教授 (10030842)
山西 浩 神戸学院短期大学, 教授
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Research Abstract |
この調査はインドネシアにおけるデング患者よりウイルスを分離し, 新鮮分離株について同定, 型別を行う他, 遺伝子RNA並びにウイルス構造蛋白の分子生物学的解析を行うことによって, ウイルスの基本的性状とその疫学的・臨床的関連を明らかにしようとするものである. このために, まず患者より可及的多数のウイルスの分離を目指し, ウイルスにとって最も自然であり, 且つ分離効率の高いことが認められている蚊の直接注射法を用いる. 分離ウイルスについては, 各種の生物学的・免疫学的性状を究明すると共に最近進展した分子生物学的手法を用いて, 遺伝子RNA, 構造蛋白の解析を行う. これによって株間の微細な差異を明確にし, 出来得れば臨床的差異や疫学的分布との相関性を明らかにすることを目的とする. このことは究極的には有効なワクチンの開発に連なる可能性があると考えられる. (1)オオカ(Toxorhinchites)を人工飼育し, これにデング熱(D)またはデング出血熱(DHF)患者の急性期血液を胸腔内注射して, ウイルスの分離を試みる. それと共に, デングウイルス(DV)接種蚊の各種組織を電子顕微鏡により観察してDVの蚊細胞親和性並びに感染の時間的経過を詳細に追求する. (2)DおよびDHF患者の各時期の血液を採取し, 臨床血液学的の諸種研究を実施する. とくに出血・凝血機構の異常を重点的に観察することとし, 血小板, プラスミン, トロンビン系の異常並びにその臨床症状及び臨床経過との関連を究明する. 血液材料の一部はDV分離実験(上記および下記)に供する. (3)患者血液を細胞培養, 特にDVに親和性の高いと考えられているハムスター腎細胞(BHK)およびヒトスジシマカ細胞(C6/36)に接種してDVの分離を試みる. 分離されたDV株について各種ウイルス学的・免疫学的検査を実施することによってDVの同定並びに型別を決定する. (4)上記分離DVの代表的なものについて分子生物学的・分子遺伝学的研究を実施する. とくに遺伝子RNA並びにウイルス粒子構造及び非構造蛋白を抽出精製して, ヌクレオチド配列, アミノ酸配列を決定する. 併せて上記RNA, 蛋白の複製に及ぼす各種生物活性物質の影響を検討してウイルス増殖の機構を追求する. 現在のところ, 第(2)項の研究の大半を完了した. 第(3)項については, 数株のDVを分離し, それについて諸研究を続行すると共に, 更に多数株の分離を予想している. 第(1)項および第(4)項についてはインドネシアで予備的研究を実施したが, 更に詳細な実験的研究を行うため, インドネシア研究者の了解の下に採取材料の半分を日本に持ち帰り, 目下鋭意研究遂行中で, 今後1年以内に完了の見込みである.
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