Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 明 京都大学, 工学部, 助教授 (50093076)
曽我 和雄 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (10026180)
御園生 誠 東京大学, 工学部, 教授 (20011059)
小野 嘉夫 東京工業大学, 工学部, 教授 (10016397)
内島 俊雄 筑波大学, 物質工学系, 教授 (30010804)
難波 征太郎 東京工業大学, 理学部, 助手 (80114883)
鹿川 修一 長崎大学, 工学部, 教授 (80037746)
大西 孝治 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (70011492)
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Research Abstract |
最近躍進著しい韓国の化学工業に関連して, その基礎となる触媒化学の研究状況,研究体制および設備,工業とのつながりを日本を代表する触媒化学の専門家9人が, 韓国の代表的な大学,研究所,工業団地などを訪問して実地調査する. また触媒化学にたずさわる研究者,技術者と情報交換や意見交換を行い, 最近空洞化の懸念される我国の触媒化学研究を推進する上での参考資料を得ることを目的とする. この調査期間中及び実地調査終了後の参加者のレポートに基づく意見を次にまとめる. 1)韓国における石油化学工業は現在急生長しておりこれに伴って触媒化学の研究も年々盛んになってきている. 研究の中心は国立の研究機関で, これはアメリカで研究のための基本訓練を完了した研究者を韓国へ呼び戻してつくり上げた組織で, 研究のあらゆる面でアメリカの影響が著しい. 日本および欧米では触媒およびこれに関する工業は成熟期にあると孝えられており, 現在研究水準ではかなり日本がリードしているものの, その差は急速に縮まるのでなないかと思われる. 2)韓国の研究体制, 工業技術はいずれも海外からの導入,研究者の呼び戻しで急速に生長したもので, 底辺からの支えに乏しい. この点は今後徐々に改善されていくと思われ, 国民の工業技術にかける期待も大きいが, 民間の研究施設など, 充実する必要のあるものは多い. 3)長期にわたる隣国との親善には, 学術上の交流はきわめて重要である. 日本も海外からの研究者や学生の受入体制を整備し, アメリカと匹敵する学術上の影響力をつくっていくべきである. 4)触媒や石油化学工業などの成熟産業に対する日本の研究投資は年々減少しており, このままでは将来空洞化の恐れがある. 生長中の隣国との交流を通じて, 最先端の水準を絶えず保っていく必要がある. 以上を総括すると韓国の生長は日本の昭和30年代の工業化熱を思わせるものがあり, 日本はこれに注意をはらいつつ, 学術交流を盛んにし, 成熟領域では楠洞化しないよう研究水準を保っていく努力が必要との参加者の一致した意見であった.
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