Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
現代国際社会研究, 所長(教
, ブルッキング研究所員
ソルボンヌ大学, 教授兼パリ
田畑 伸一郎 北海道大学, スラブ研究センター, 助教授 (10183071)
望月 哲男 北海道大学, スラブ研究センター, 助教授 (90166330)
木戸 蓊 神戸大学, 法学部, 教授 (30030612)
伊東 孝之 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (30002140)
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Research Abstract |
本研究の目的は二つある. (1)「ペレストロイカ」ですっかりお馴染みとなったゴルバチョフ政権の改革がどの位のスピードで, どのような分野で推進され, それがどのていど成功するか否か. 国際政治において依然として大きな影響力をもち我が国の隣国でもあるソ連における「改革」の現状と行方を正確に理解することは, たんに政策科学の立場からでなく, 学術的にきわめて興味あるテーマである. このテーマについての学術意見交流を, 西ヨーロッパ, イスラエル, 米国の学者と行なうこと, (2)併せて, 同諸国におけるスラブ(ソ連・東欧研究)の今後を調査し, わが国におけるスラブ研究のあり方に〓するようにすること. 1.「ゴルバチョフ改革のインパクト」 学術意見交換した欧米のソ連研究者の中で, ごく一部の者を除いては, ソ連社会を改革せねばならないというゴルバチョフの意志に疑問をはさむ者はいなかった. しかし, 同時に, ソ連書記長の真剣な覚悟と彼の意図が実現するか否かの問題を分けて考えるべきと説くのが大方の意見であった. 総じて言えば, ゴルバチョフ改革が成功すると楽観的にみる者は, 米デューク大のハフ教授らごく少数を除き, 少数説である. 改革の必要については一致しているものの, 改革の進め方のスピードや規模にかんしては, 書記長に抵抗する勢力が明らかに見てとれるという. ゴルバチョフ改革にたいする最大の反対が, 改革によって恩恵を受ける最後のグループであるソ連一般大衆であるという点で, 欧米の学者と日本の研究者間に見方の違いはない. とはいえ, ソ連はゴルバチョフが進めているような改革を行なう以外の道はなく, それは徐々にソ連社会を文明化し対外的にも開放してゆくだろうと見る. 2.「西欧及び米国におけるソ連・東欧研究の今後」 西欧では財政難のためにソ連・東欧研究が不活発となりつつあると感じた. とくにサッチャー政権下における財政合理化の影響は大きく英国の優れた研究者は米国へ移住しはじめている. 他方, 米国は, 「ゴルバチョフ人気」と官民の梃子入れでソ連・東欧研究がリバイバルしつつある. 米国では, 研究者が若返るとともに, 従来のスラブ系からアングロサクソンその他の非スラブ系への研究者が顔ぶれを変えつつある. 米国へは, 中国や韓国からの院生および研究者の急増が顕著である. 欧米の別を問わず, 日本人学者との共同プロジェクト推進に熱意が感じられた.
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