Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
J D.Garrett コペンハーゲン大学, ニールス・ボーア研究所, 講師
B Herskind コペンハーゲン大学, ニールス・ボーア研究所, 講師
B Mottelson コペンハーゲン大学, ノルディタ研究所, 教授
岩田 洋世 広島大学, 理学部, 助手 (20168579)
坂田 文彦 東京大学, 原子核研究所, 助手 (50013438)
丸森 寿夫 筑波子学, 物理学系, 教授 (10037145)
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Research Abstract |
原子核は, 強い相互作用をしている有限個の核子が作る自己悪播着な孤立系であり,それの示す多様な励起状態の構造は強い非線形性を反映している. この非線形性に基づく物理は,申請者たちがここ数年来展開してきた孤立有限系に特有な大振幅集団運動論と呼ばれる新しい理論により,より一般性をもった理論へと発展しつつある. 他方B.モッテルソン教授を中心としたニールス・ボーア研究所のグループは, 実験を通じて有限系における統計性発生のメカニズム,微視的理論と巨視的物理の関係を高速囲転状態の核構造を通じて明らかにしようとしている. 本調査研究は,日本の理論グループが展開してきた新しい理論と,ニールス・ボーア研究所のグループが発展させてきた現象論的理解を基礎に,新しい非線形量子物理の発展を目指し,特に大振幅集団運動論の囲転運動への適用性を調べる. 本年度は,ニールス・ボーア研究所での測定器(日本も協力して建設を進めている)が建設中であり,データ収集システムも開発中である. (この為に岩田洋世が協力・開発を進めている. )タンデム加速器増強計画も本年5月を目途に建設が進んでおり,巨大共鳴状態からの高エネルギー・ガンマ線測定の為の実験準備が最初の実験として進められています. 理論的研究では,原子核の高温・高励起状態に対して適用可能な理論の展開が為され,重要な知見が得られました. ニールス・ボーア研究所側では T.Dossing,R.Broglia等が高温状態についての現象論的模型を提起しており,他方日本側では大振幅集団運動論を基礎として,有限系における統計性発年の機構・温度概念の適用の妥当性が調べられるような理論体系が 坂田文彦等により展開されています. この理論は一体場近似の枠内で取扱いうる現象・例えば重イオン深部非弾性散乱で現われる有限系の「散逸現象」を記述する為に用いられてきた輸送方程式の微視的基礎付けも行なおうという統一的な理論です. 63年度からの理論の共同研究を行なう為の準備が,清水良文ーJ.Garrett,松柳研一ーT.Dossingの間で進められてきました. 又, 63年度の実験の共同研究の為に,古野興平・小松原哲郎ーB.Herskindの間で準備が進められています. これは63年度秋からニールス・ボーア研究所で可能となる, 原子核の高速囲転状態に関する実験的研究・特に非軸対称性の原子核構造への反映を調べる事を目的としています.
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