産業技術史研究における各国博物館の機能に関する国際比較調査研究
Project/Area Number |
62041135
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Research Category |
Grant-in-Aid for Overseas Scientific Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Principal Investigator |
中岡 哲郎 大阪市立大学, 経済学部, 教授 (80073360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
種田 明 桃山学院大学, 経済学部, 非常勤講師 (90146986)
庄谷 邦幸 桃山学院大学, 経済学部, 教授 (70067833)
井上 章一 国立国際日本文化研究センター, 助教授 (40135603)
森田 恒之 国立民族学博物館, 助教授 (10133612)
安田 孝 大阪大学, 工学部, 助手 (60029220)
三宅 宏司 大阪教育大学, 教育学部, 助手 (70124782)
中川 徹 国立科学博物館, 主任研究官 (70100823)
渡辺 正男 東京電気大学, 工学部, 教授
野村 雅一 国立民族学博物館, 助教授 (60142014)
吉田 光邦 京都大学, 名誉教授 (20027519)
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Project Period (FY) |
1987
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1987)
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Research Abstract |
近代日本の産業技術に関する研究関心のたかまりと, 記念物保存の機運生成に対応すべく産業技術資料の保存と公開についてすでに長い歴史をもつ欧米博物館の機能を以下の諸点について詳細に研究し,それらの博物館がその国の産業技術史研究にはたしている機能を明らかにする. I)資料の収集調査システム産業界政府, 自治体の協力体制 II)展示において産業技術の発展がどのようにその国の文化的歴史的, 経済的状況と結びつけて表現されているか III)動態展示のための体制 この海外調査はイギリス, ドイツ・オーストリア, フランス・ベルギー, アメリカの4つの地域にそれぞれ調査班を派遣して実施した. 産業技術史が独立した研究領域として地位を獲得している欧米先進諸国においては, 産業技術も公に所有されるべき知的生産物であるという共通の社会的認識を前提として産業記念物の保存や技術史博物館の運営がなされていることが, 各班の調査に共通して現れた. この種の研究には不可欠な基礎資料の保存や廃棄, もしくは秘匿が私企業の意志で決定されやすいわが国の事情と基本的な相違点である. 逆に, こうした動きは資料がもつ社会的な役割の重要性を企業や一般大衆に周知させる役割も果たしている. 産業技術史博物館の運営に関しては, 大別して, 中央館型, 地域センター型, 現地保存型の3類型に分類できる. 中央館では一般大衆への知識の普及を目的とした機能と, 専門研究者に対する高度な情報資料の集積と提供を目的とする2極化した機能整備が同時に進んでいる. 地域センター型は地域の研究者グループと密な関係を維持しながら, とくに地域の特定産業に関して密度の高い資料収集と研究が推進されているところが多くみられる. 現地保存型は観光施設を兼ねる文化センターとしての機能をもつものが多いが, 当該業種(または企業)の元従業員をはじめボランティアのアマチュア技術者・研究者の協力に依存するところが大である. ボランティアは我国での実例が皆無に近くそのあり方自体も今後の研究課題であろう. 産業記念物の保存にあたっては機械, 道具, 設備など実物資料がもつ価値が写真, 文献等に数段優れることはいうまでもないが, できればそれらをそれぞれ単体で残すのでなく一連のシステムとして保存・展示する努力が必要であることが多くの調査例からあきらかとなった.
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)