Research Abstract |
エイズの研究を推進している各国の研究者及び行政官にあい,対策,研究費,研究システム,新しい知見,実験技術,疫学的情報,バイオハザードなどの情報を収集し,実験結果を比熊するとともに,共同研究,材料交換,人的交流の可能性について検討することを目的とする. なおこの調査結果を特定研究「AIDSの総合的基礎研究」班の運営に生かす. 小高,森は米国サンフランシスコ地区で情報を収集後,NIH,CDCでエイズの疫学,対策について多くの一般的情報を得た. ことにNIHにおいては今後のエイズ対策を決定するための二日間の会議を傍聴するという機会を得た. なお,英国,フランスではエイズ研究の研究者に,英国ではエイズ対策の責任者にあい,またベルギーではアフリカのエイズ状況に関する情報を集めた. 鶴尾は米国国立癌研において,抗エイズ薬を多数,安全にスクリーニングするための技術を修得し,これをわが国に導入するための了解をとりつけた. さらに治療薬開発の情報を収集した. 高月は米国において,エイズの病態,予防,治療,疫学などについて討議した. 最近米国においてはHTLVー1感染が拡大する傾向にあり,輸血事業関係者からHTLVー1に関するわが国の経験をきかれ,情報を求められることが多かった. 速水はアフリカにおけるヒト,サルのウイルスを分離した実積をふまえて,ドイツ霊長類センターで,サルを用いた感染実験を行うこと,またフランス,英国のグループとアフリカでウイルスの共同調査を行なう計画を立案した. 全体として,米国のNIH,CDC,フランスのパスツール研究所のようなエイズ研究の中心的機関のほか,米国,英国,フランス,ドイツ,ベルギーの五大学,五研究所,その他を訪れたことになり,多くの新しい情報を入手し,エイズ(研究)の現状,問題点について討議することができた. 速水グループとイギリス,フランスあるいはドイツとの共同計画は,一方ではアフリカにおけるウイルスの実地調査であり,他方ではサルをを用いたエイズのモデル実験であるので,本海外学術研究の延長として,今後ある期間,資金的裏付けを必要とする.
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