パプア・ニューギニアにおける成人T細胞白血病の疫学調査
Project/Area Number |
62041808
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Research Category |
Grant-in-Aid for Overseas Scientific Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | Special Cancer Research |
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
寺師 慎一 鹿児島大学, 南方海域研究センター, 教授 (90041293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TOM TALONU パプアニューギニア大学, 医学部病理, 講師
TUKUTAU TAUF パプアニューギニア大学, ニューギニア大学・医学部衛生, 医学部長&講師
山口 幸一 鹿児島大学, 医学部付属病院内科, 助手 (30117551)
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Project Period (FY) |
1987
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1987)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 1987: ¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
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Research Abstract |
ウイルス感染に起因する成人T細胞白血病(ATL)は沖縄, 南九州など暖流に接する沿岸に好発するという地域特異性を有している. また, その感染の成立には輸血や母子感染があり. そのほかフィラリア症など熱帯病に多くみられる吸血動物を媒介体としての感染も疑われていた. 一方, 最近は台湾にATLウイルス関連抗体陽性者がみつかってくると同時に, 日本以南のパプア・ニューギニアは新たなATLウイルス高頻度の浸淫地域として注目を浴びてきた. したがって, 同国についてもより詳細な調査・研究の必要性が論じられるようになってきた. 日本ではすでに輸血用の血液中のATLウイルスの有無の検索に基づく予防処置は講じられていながら, 諸外国ではATLウイルス蔓延に関する疫学調査はまだ充分になされていないため, 何等の予防的処置は行われていない. そのような現状にあるパプア・ニューギニアでの疫学調査はATLウイルスの母子感染予防に開発中のATLワクチンの臨床応用にも対処出来る体制を作ることとひいては, 世界的観点にたった広範な予防医学に貢献することを目的とする. ウイルス感染に起因する成人T細胞白血病(ATL)は日本においては沖縄, 南九州など暖流に接する沿岸に好発するという地域特異性を有している. また, 諸外国ではカリブ海地方, ならびに同地出身者に好発することが知られている. そのウイルス感染の成立には輸血や母子感染によることが明確になってきた. 一方, 昭和61年度の我々のパプア・ニューギニア調査でATLウイルス関連抗体(ATLA)陽性者が15.5%もの高頻度にみられることが判明した. この調査研究資料によると同国のATLAの地域分布は南部沿岸域や高地・山間部より北側沿岸域に高いことが知られ, より詳細なATLウイルス浸淫状況の把握が必要となってきた. 本年度のより多数の検体・母集団にもとずく疫学調査では, パプア・ニューギニア全土についてのATLA陽性率は19.6%とさらに高い頻度を示した. 高地(マウント・ハーゲン)と北側沿岸域(マダン)はそれぞれ15.8%および20.5%と差異はあまりみられなかったが, 他の入手資料にもとずくと高地(ゴロカ)でわずか7.1%であったに反して, 北側沿岸域ではマダンの33.8%, その隣の州ウエワクは34.1%と検体数の増加によりその差は明確にみられた. 最近, ATLウイルスの感染様式の解明されるにしたがって, パプア・ニューギニアをATLウイルス汚染国を経由しての浸淫地域と考えるよりも, むしろ古い過去の人類移動にともなって同ウイルスが定着した可能性が高いといわれはじめている. これの解明にも現地人の移動や流入の少ない特定地域での調査研究を継続したい.
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)