Research Abstract |
本調査は, 諸外国における日本文化像の考察を通して, 日本文化の本質に迫ろうとするものである. 近世以降, 日本文化との恒常的接触,交渉がみられた地域における日本文化の伝播,受容,変質などの実態を歴史的,構造的,比較的に追求することによって,日本文化の性格の普遍性と特殊性を明らかにすることを目的としている. 今回の調査は,日本と歴史的に関係の深かった諸外国における日本文化の伝播,受容,変容,イメージの状況を把握することによって,日本文化の普遍性と特殊性を構造的,比較的に促え,世界における日本文化の位置づけを明らかにすることを目的としている. 1987年7月〜8月にかけて4人の研究代表者・研究分担者によっておこなわれたのは,1988年に予定している本調査のための準備,下調べ的性格をもつもので,本調査時に8名の研究分担者が調査するのに必要な情報の収集,調査対象者の確定,現地の専門家との連絡,調整,関係資料の収集が主たる目的であった. この予備調査の結果下記のような成果がえられた. 研究代表者綾部恒雄はフランスにおいてはパリ及びボルドー地区の調査をおこない,パリにおいては在パリの知日家多数と面接し,本調査に関する意見,方法,日程などを調備するとともに日本に関するフランス側の文献を多数収集した. ボルドー地区においても天理教支部などを中心に同様の調査を行った. 関一敏はパリ大学を中心とし,国立東洋言語文化研究所,社会科学高等研究院などの日本研究者と研究上の打合せを行い,ボルドー地区では綾部と調査行動をともにした. 飯島吉晴はハワイ大学のオアフ本校とヒロ分校を中心として日本専門家と本調査に関する打合せを行うとともに,日系アメリカ人の一,二,三世の同化及びアイデンティティ維持の過程を非日系人の立場から観察することを通して,日本観の構造を促えようとした. ヨーゼフ・クライナー(ボン大学日本文化研究所々長)は,ドイツ人としての立場から,西ドイツにおける日本観の変遷を予備的に調査した. 1988年度の本調査の場合の面接対象者,協力者をほぼ確定するとともに,西ドイツにおける既刊日本関係資料の整理分析をおこなった.
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