Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 四郎衛 東京医科大学, 医学部, 教授
渡辺 泰雄 Univ.of Illinois, College of Medicine, Dep (70183720)
松田 宏三 東京医科大学, 医学部, 講師 (20074651)
佐藤 勝彦 東京医科大学, 医学部, 助教授 (00133372)
B Salafsky Univ.of Illinois, College of Medicine at
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Budget Amount *help |
¥4,400,000 (Direct Cost: ¥4,400,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1987: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
老人性精神障害に対する社会的関心は日本のみならず米国においても増大しつつある.今回の研究では, 脳内イオンチャンネルが各種精神機能調節に重要な役割を演じているという事実と高齢化に伴なうこれらイオンチャンネルの変化が老人性精神障害と関連している可能性を追究するために,疾患モデル動物の作製と,これら動物の脳内イオンチャンネル殊にCa^<++>チャンネルの変動に関して研究した. ストレス(特に軽度のストレス)による精神障害と脳内イオンチャンネル機構の相関性を動物,殊にラットを用いて調べるために,この種の疾患モデル動物の作製を試みた.さらに,これらの脳内イオンチャンネル,殊にCa^<++>ーChannelの動態を調べるために,このChannelに特異的な放射性物質である^3HーPN200ー110を用いた. 1)ストレスによる精神障害モデル動物の作製:障害モデル動物作製にあたって8週令及び20週令の高血圧自然発症ラット(SHR)及び,対照群として同週令のWistar Kyoto rats(WKY)を用いた.実験は,一般動物室とは別の防音室で12時間毎に明暗が調節できる部室において施行した.すなわち,SHR,WKY共に1匹づつを透明なpolystyrene cageで飼育し,水とエサは自由に摂取させ,これらの自発運動量の日内変動を調べた.さらに,軽度のストレスとして暗室内で85dBのブザーを1時間毎に24時間,間欠的な刺激を加え,自発運動量に対する変化を調べた.これらの結果として,血圧はWKYに比べて高い状態ではあるが,まだ未熟な8週令SHRの日内変動での自発運動量は,冬時間帯(殊に夜間)においてWKYのそれよりも著明に高く,しかも軽度の音刺激下では明らかな運動量の亢進が観測された.一方,20週令SHRの血圧は行らかに8週令SHRより高く安定していたが,音刺激による自発運動量の変動は8週令の結果と対照的であった.すなわち,音刺激によって20週令SHRの自発運動量は完全に抑制された.この自発運動量の抑制は一種の"すくみ"状態から起きたものと推測される. 2)脳内Ca^<++>channelの変動;"すくみ"状態になったSHRを断頭し,脳内7部位及び脊髄に区分し,それぞれの部位におけるCa^<++>channelの性質を,正常SHRやWKYのそれぞれの部位と比較すると,"すくみ"状態にあるSHRの前脳部位のみの^3HーPN200ー110最大結合数が著明に増加していた.これらの結果は,脳内,殊に前脳部位のCa^<++>channelが,ストレスによる精神異常発現に関与している可能性を示唆するものと考えられる.
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