Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末野 重穗 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (30110513)
小藤 吉郎 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (40029872)
宮本 正道 東京大学, 教養学部, 助手 (70107944)
工藤 康弘 東京大学, 理学部, 助手 (30107693)
床次 正安 東京大学, 理学部, 教授 (80029850)
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Budget Amount *help |
¥12,800,000 (Direct Cost: ¥12,800,000)
Fiscal Year 1987: ¥12,800,000 (Direct Cost: ¥12,800,000)
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Research Abstract |
固相中の元素の拡散について地球内部の物質移動と変化の問題に適用するのに重要である問題のうち, 転位亜粒界に沿っての高速拡散, 高圧下における拡散係数の変化などを重点的に研究するとともに, イオンマイクロプローブ(SIMS)を用いた拡散定数の測定, 転移による元素移動の研究も行った. 1.ペロブスカイト型MgSiO3の高圧下での元素の拡散 この物質は地球下部マントルの主要鉱物であり, その元素の拡散は固体の流動とりわけクリープと深い関係をもっている. 本研究では96kbまでの高圧下でダイアモンドアンビルを用いた単結晶X線回析法でその結晶構造を精密化した. これらのデータを用い拡散係路に沿って静電エネルギーを計算し, これより推定した高圧下での活性化体積からこの相では酸素の拡散が主導的であることが判明した. この結果は空席を導入したMD法でのシミュレーションの結果とも一致する. さらに高圧でのホタル石型構造を持つ相での酸素のイオン電導の問題もこれと関連してX線分光法などで研究された. 2.カンラン石および石英の転位亜粒界に沿った高速拡散に関連する研究. 11度の傾斜角を持つ(100)小傾角粒界における〔001〕方向のMg-Fe相互拡散係数は, 900°Cで拡散させた試料をイオンミリング装置で薄片をつくり, 分析電顕で解析したところ体積拡散係数より千倍程大きいことが判明した. 3.SIMSを用いてMgO中の微量元素の拡散係数を, 深さ方向分析法で測定し, 一回の実験で格子拡散と転位粒界拡散を同時に測定できることが判明した. 本年度購入したYAGレーザーとダイアモンドアンビルを用い, 高温高圧下でカンラン石-スピネル転移を起こさせ, この時に元素がどう移動するかの基礎的実験も行った. これらは地球深部における相転移と物質移動について,有用な情報を提供してくれるので, 元素分配の問題とも関連し今後研究して行かねばならぬ問題である.
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