Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 和博 名古屋大学, 理学部, 助教授 (90111624)
小畑 正明 熊本大学, 理学部, 助教授 (20126486)
加納 隆 山口大学, 理学部, 助手 (60108264)
田切 美智雄 茨城大学, 理学部, 助教授 (50007829)
坂野 昇平 京都大学, 理学部, 教授 (30019468)
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Budget Amount *help |
¥19,000,000 (Direct Cost: ¥19,000,000)
Fiscal Year 1987: ¥19,000,000 (Direct Cost: ¥19,000,000)
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Research Abstract |
(1)変成の場と物質移動の形式, 機構について非常に明確な関連性があることが判明した. 高圧低温型の変成作用(三波川変成作用など)では水の移動が若干あるが, これは鉱物の脱加水作用に伴うものである. 他の元素はこの変成作用では殆ど移動しない. 高圧, 高温型変成作用(日高, 領家変成作用など)では, 変成岩の部分容融が起り, これが移動することも起る. しかし, こゝでは, 地下の更に深い所に由来するマグマがこゝに移動して来て, 既存の変成岩と反応し固定される. 比較的浅い(地下)所で起る高温変成作用では, マグマに由来すると思はれる水溶液の移動がかなり大規模に起る. 飛騨変成岩にみられる巨晶片麻岩の長石巨晶の発達は, このような変成の場で破砕性変形を岩石が受けた所で起った現象である. 低圧(地下浅所)中低温の変成作用においては, 岩石が破砕性変形を受けることが多く, この破砕部分を通して, 溶液が移動し, これによる物質移動が卓越する. この物質移動に伴って, 岩石の新な破砕が起り, 地震が発生する可能性も示唆された. (2)実験的研究では, 岩石を構成している鉱物の粒界には鉱物と異なる性質(低融点など)を持つ物質の尸が存在していることが多く, この相に稀土類, 遷移金属, アルカリ金属, アルカリ土類などが異常濃集を示していることが明らかにされた. 岩圓における物質移動の考察にはこれらの相の果す役割は無視できない. 数年来続行していた微小熱量計による鉱物の熱力学的諸量の測定は漸く, 各種の熱力学的計算に使用し得る精度が得られるようになった. これにより, 高圧で安定な鉱物の安定領域を正確に決めることができ, 従来の実験データを吟味することができた. (3)水溶液(高温高圧下の)と鉱物の間の化学反応速度は従来考えられているものよりはるかに速く, 水溶液を介して起る物質移動の伝播機構が明らかにされた.
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