Research Abstract |
この研究班は, 実験動物において, 先天性代謝病モデルを開発し, ヒトの先天性代謝病の予防と治療の研究に役立てることを目的とするものである. したがって, 疾患モデル動物を育成する研究者と, それを先天性代謝病の研究に利用する研究者が密接に提携して協同研究を進めることに特色がある. 今年度は班会議を2回開催して, 両者の連絡を密にし, 開発された疾患モデル動物は直ちにそれぞれの疾患の研究者により使用され, 病因解析が加えられ, その有用性が評価された. 疾患モデル動物を育成する研究者側としては, 近藤班長を始めとして, 富田, 信永はそれぞれ, ラット, マウス, ネコについてモデル動物の探索, 遺伝解析および系統育成を遂行し, 特徴あるモデルを確立した. 山村は, 遺伝子導入技術を用いて, ヒトの疾患遺伝子をマウスに導入し, この遺伝子を肝臓で特異的に発現させることに成功した. また, 舘はキメラ動物を用いて先天性代謝病の発症機構と病因解析する方法の開発を試み, 毛色色素の画像解析法を考案した. 一方, 開発されたモデル動物を利用する研究者側では, 北川を始めとして, 御子柴, 辻, 小浜が, モデル動物の病因解析を進め, モデル動物の有用性評価を担当すると共に, 野口, 衛藤, 北村, 野沢, 高坂, 大西, 桜川と協力して, モデル動物を利用した先天性代謝病治療の研究を進めた. 治療法の開発研究で中心となったのは, 疾患モデル動物に正常動物より組織, 臓器を移植して, 遺伝的に欠損している酵素など生体活性物質を補填する試みであった. 骨髄移植, 培養細胞移植, 羊膜移植, 脳内移植および臓器移植が行われ, 治療効果の研究のためにモデル動物を用いる利点を生かした研究が進展した. 衛藤はリポソームの脳血管障壁通貨のためには, マンノースが重要な役割を果たしていることを示した.
|