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¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1987: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
神経毒タンパクは, アセチルコリン等のコリン性リガント, クラーレ等の神経毒と競争的にアセチルコリン受容体に結合する. したがって, アセチルコリンやクラーレ等の受容体結合部位と良く似た構造が, 神経毒タンパクに存在すると考えることができる. そしてそれらの構造は, すべての神経毒タンパクに共通していると仮定することができる(後述するように, 実はこの2番目の仮定は必ずしも正しくない). 田宮らは以上の仮定に基づき, 神経毒タンパク分子内にクラーレと良く似た構造があることを示し, さらに両者が一致するためには, 神経毒タンパクが受容体との結合に伴い受容体に「かみつく」ような構造変化を起こさせねばならないと考えた. 本研究では, NMRにより様々な神経毒タンパクについて, 分子内の様々な部位のプロトンのシグナルの化学シフトの温度依存性を調べた. その結果, 神経毒タンパクには, 温度変化に対する応答の異なる複数の構造単位(モジュール)が存在することが分かり, 明らかになった「かたい」モジュールを連結する「やわらかい」βシート構造という抽像は, 受容体との結合に際して予測された構造変化に良くfitすることが示された. 次に神経毒タンパク分子中の「やわらかい」部分のやわらかさ(かたさ)が, 受容体との結合の速度(定数)と関連付けられるかどうか, 検討した. βシート部分のかたさは, 水素結合に関与する主鎖のアミド水素の重水素交換速度を指標とした. βシート部分のかたさは長鎖神経毒と短鎖神経毒の受容体への結合の速度定数の差を説明できるが, 短鎖神経毒間の結合速度の違いを説明できない. 神経毒タンパク間のアミノ酸置換が結合部位にも何らかの構造的影響を与えているため, 受容体への結合の速度定数だけでなく, 結合の平衡定数も変化してしまっていることが, 解釈を難しくしている一つの理由である.
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